1、Dixie Pork | 2、三貴哲成 |
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「良いライブ」とは果たして何をもってして言われるのであろうか。音楽活動を始めて数年に
なるが、大学を卒業してここ2年特に強く思うことである。お客さんから見れば何を今さらと言うかもしれない。しかし音楽の道に
進むと決めた以上、この課題はある意味永遠の課題として、我々は向き合って行かなければならないのではないかとも思う。
大学在学当時、とにかくピアノが好きだった私は上手くなりたい気持ちでいっぱいで、それこそ弾きまくる
スタイルを目指していた。やはり技術がないと、見てくれる人は感動させられないと思っていたからだ。特にジャズというジャンルは
即興が命。自分にソロが回ってくると目立ちたい一身でそれこそバカスカ弾いていた。
しかしここ何年かはそうは思わなくなっていた。かわりにこう思い始めた。ライブとはステージなのだ…と。
これはなかなか奥が深い。要はお客さんが最優先、こう思ってきたのである。例えばとあるバンドに参加してソロを任された。しかし
自分がでしゃばり過ぎるのは良くない。お客さんは何も自分だけを見に来ているわけではない。バンドを見に来ているのである。
だから全体のバランスを考えて(つまり他のメンバーみんなも引き立つように)演奏するよう心掛けている。これは何もソロに限った
事ではない。バッキングをしている時でも同じだ。大きく言えば、ライブ全体のバランスを常に考えなければならない、ということにも
繋がるのではないだろうか。
そしてもう一つ、ステージといえばパフォーマンスンも大事ということだ。これは色々なバンドを目にしてわかったことで、例え
技術的に素晴らしいバンドでも、パフォーマンスが成ってないと魅力がどうしても落ちてしまうのだ。逆に、技術的には凄くなくても
見れるバンドはたくさんある。まあパフォーマンスも技術のうちだと言ってしまえばそれまでだが、MCひとつにしてもやり方次第では
ライブの良し悪しが変わる事だってあるんじゃないかと思う。
ここで、この Dixie Pork に今の論理を当てはめてみたいと思う。技術的に…うーん、上手いとは思えないな。
ではパフォーマンス的には…いや、これも際だってこれだといえる物が無い。さあ困った。これではどこを売り出していいんだか
わからない。よくお客さんのアンケートに「雰囲気が良い」というのがある。これは嬉しい事で、個々の技術だけでは良い雰囲気は
出せないと思う。うちらの場合、これは自然発生的に出せたものなのであろうが、これを伸ばしていけば良いのではないだろうか!?
最近私はライブ時に「動き」を求める。今までの Dixie Pork のライブビデオなどを見て一番に思うこと…「こいつら、演奏してて
ホントに楽しいんだろうか」である。どうも動きが少ない。ひどい時には舞台前の方で仁王立ち。顔の表情もなんだかしかめっ面で
つまらなそう…。これではいかに演奏が良くてもお客さんは楽しめないであろう。というか、これでお客さんを一人でも逃している
のかと思うと、もったいないという気持ちでいっぱいになる。
そこで私は今日のライブで1つの目標を立てた。それはもちろん「ライブ中動く」である。私自身だけでなくメンバー全員も、だ。
特に前に出る2人には頑張ってもらいたい。しかし演奏でいっぱいいっぱいというのも事実。とにかく事前の練習ではそこも重点的に
やったつもりである。あとは本番でそれが活かせるかどうかだ。
そして我々は本番を迎えた。今日はステージが約一時間と長い。それだけに「動き」も重要になってくる…。
バテる危険性も否定できない。この不安は終わるまで消えなかった。
とりあえず1曲目はパライゾだ。長年やっているこの曲、慣れに慣れているこの曲。ひょっとしたらこの始めの1曲でライブ全体を
左右してしまうかもしれない…とにかく大事な1曲だ。そして、結果的にこの選曲は成功だったと言えたのではないかと思う。
2曲目も無難に終わり、3曲目、Bongo A Go Go である。このステージでは初の勢いがある曲だ。当然「動き」も必至な曲だ。
イントロから賑やかなイメージを連想させる。いい感じだ、とりあえず演奏は…。さてみんなの動きはどうなっているのだろう。
お、一真が動く、清水が動く…、いいじゃないですか、やればできるじゃないですか。ああ、自分は今モーレツに感動している!!
なんだか達成感が湧いてきた。実は9曲目の Mountain Pa Pa も結構アグレッシブな曲で、勢いの良さでいったら3曲目以上なのだが、
事のほか感動は最初の方が上だった。でも誤解を受けないために言っておく。「動き」の面では断然 Mountain Pa Pa の方が良かった。
特にソロの辺りとか良かったね〜。
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