ライブレポート２４（by 清水裕介）

　かつての私の好きなベーシストの条件はあまり目立たない人だった。つまり正確で、それでいてでしゃばるような 派手なプレイはあまりしないということ。しかし今となっては私がそれまでいかに低音部分をないがしろにしてきたか、あるいは殆ど 耳に入っていなかったかということを思い知らされることになった。ベースってこんないろいろやってたのねー！びっくりである。 やってみると色んな事に気付く。これがまさに視点を変えるってことなんだろうなぁ。ベースに気を配ると今まで慣れ親しんだ お気に入りのＣＤまで違って聞こえた。この衝撃はキーボードに転向にした時のそれをはるかに上回るものであった。奥が深い…。
　しかしベースをやり始めた時はそりゃ大変だったよー。右手の指は回らないわ、弦は太いわ。ちょうどこの頃は軽い気持ちで始めた ベースの責任の重さと難しさに気付き、恐れ戦いていた時期であった。今ではなんとか最低限のスキルを身に付け、やっとこ乏しい 武器ながらも幾多の恐ろしい化け物たちに立ち向かっていけるようになったところである。なんとなく、自分の中の気分的に。
　ただやっぱりベースを弾きながら歌うのって難しいィ。うわさには聞いていたけどホントにこれが厳しいのである。ベースだと特に リズムを気にするから本当にシビアだ。いったいポールくんとかリックくんの頭の中はどうなっているのかしらん。高音のかすれた声で 息もたえだえにコーラスするのが私の最大のチャームポイントだと思っていたのだが、今ではコーラスパートもだいぶ減ってしまった。 今はそれをなんとか克服し、ご飯どきに甘えるネコのごとく鳴きまくりかつてのようにリードボーカルの邪魔をしまくろうと 燃えている次第である。