泊まったホテルからは電車が見えた
写真は韓国の自慢の新幹線、KTXだ


 2005,4,20〜4,22…ソウル(大韓民国)



渥美朋久韓国へ行く!

  2005年4月20日(1日目)

 今年は海外に行くケースが多い。今回で今年になって4度目。今のところ月1ペースで行っている。実は今年は 行きたい場所の目標があって、それは「韓国」と「ニューヨーク」だった。後者は距離的に気軽にというわけにはいかないが、韓国なら 飛行機で2時間余り。3日間あれば十分楽しめる。昨今は『韓流ブーム』ということで、日本のメディアにも韓国の情報がバンバン流れて きている。私は韓国のドラマはあまり見ないのでよくわからないが、韓国という国自体には最近とても興味を惹かれていたのである。 そんなわけで、誰か一緒に韓国に行くやついないかなと探してみると、これが身近にいた。Dixie Pork のドラマーでもあり、私の大学 時代の後輩でもある(後輩というよりは友達感覚に近いが)渥美朋久だ。彼とならトラブルも少なさそうだ。向かう先は韓国の首都 ソウル。久しぶりに新しく行く国ということで、月並みな表現だが期待と不安が入り交じっていた。

 渥美は車を持っているため、成田空港にも車で向かった。やはり車は良い。ちゃんと飛行機の出発2時間前には 空港に到着。今回はアシアナ航空という、韓国第ニ(韓国一は大韓航空)の実績を持つ航空会社を利用する。格安のツアーだったので、 この会社を選んだわけではなく、たまたま乗ることになったのだが、この会社はスターアライアンスという航空会社同士のグループに 入っていて提携会社が多く、私はユナイテッドエアラインというアメリカの会社のマイレージププログラムに入っているが、これは アシアナ航空に乗ってもマイルを貯めることが出きる。今世界の主な航空会社は、こういったグループ(連盟)に入っていることが多く、 日本だと全日空がこのスターアライアンスに加盟している。逆に日本航空は未だにどの連盟にも属していないが、今ではこのような 航空会社の方が珍しい。話しが逸れてしまったが、とにかくマイルが貯められるというのはお得だ。知っていて損はないであろう。
 さて、我々が乗った便はOZ101便、成田を13:30に出発し、ソウルには16:10に到着する。日本と韓国に時差は無いので、2時間半ぐらい で着いてしまうわけだ。さすが日本のお隣の国、韓国である。ついでに、東京から沖縄への所要時間も同じくくらいである。この短い 時間で、機内では国際線のサービスが行われるわけだから、なかなか優雅なものだとも言える。今回、韓国の航空会社は初めて利用した のだがサービスは上々。質の面では、こちらも距離的に近い中国と比べるとかなり高い。私は、韓国という国に対してどこか 中国に近いというイメージがあり、サービスもあまり期待していなかったのであるが、この雰囲気。多いに満足できる内容といえる。
今回我々が乗ったアシアナ航空OZ101便
機材はボーイング747、ジャンボ機だ 結構満足できた機内食。やはり
チューブ状のコチジャンが目につく  また、機内食にはチューブ状のコチジャン(韓国の調味料、かなり辛い)が用意されているのも面白い。これをご飯にかけ、混ぜる。 実はこの混ぜるという行為は、韓国では当たり前のように行われる。初めてこれを手に取った日本人は、ちょこっとご飯の上に出しては その周辺のおかずと一緒に食べる…という感じであるが、韓国式に食べるなら、とにかく混ぜる。ちょうどよく絡まってから食べるのが 良いらしい。このように、機内から韓国風になれるのも、アシアナ航空の大きな魅力だ。先ほども書いたが、私は今回韓国が初めての 人間だ。そして、一番最初に韓国に触れることができたのは、アシアナ航空のこの機内にて、ということになる。これは韓国の第一印象 にも繋がるので結構大事で、私にとってはすごく好感の持てる印象となったのが良かった。アシアナ航空に感謝だ。
 さて、ビールも飲んでたので時間がたつのは早かった。もうソウルに向かって降下中というではないか。ソウルの空港は2つ、 国内線専用の金浦(キンポー)空港と、主に国際線が発着する仁川(インチョン)空港だ。もちろん我々は仁川空港に到着する。この空港は開港が 2001年3月と、わりと新しい時期にできた空港だ。それまでは国際線も金浦空港から発着しており、発着数が増えて手狭になった ために、新しい空港を作ったわけだ。これは東京の羽田と成田の関係に似ているだろう。そして、新しくできた空港の方は、決まって 都心から離れた場所にできてしまうものなのだが、この仁川空港もそれに当てはまり、ソウル市の中心部から50キロぐらいの場所に 位置する。成田が東京から70キロだからそれよりはマシだが、それでも市内から空港へは1時間ぐらいかかってしまう。日本と韓国は 距離的に近いのに、国際空港が供に都心から離れているといのは、何とも勿体無い話しだと思う。そのせいか最近は、チャーター便のみ だが、羽田〜金浦という便も特別に毎日4便(日本航空、全日空、大韓航空、アシアナ航空が1便ずつ)飛ぶようになった。
 そんなわけで、着陸するときにも回りに街があるわけではなく、まだ未開発の土地に着陸した…といった感じだ。しかしこの仁川空港は 立派だ。広大な土地に巨大な空港ターミナル。だがこれはまだ計画の一部らしく、現在使われている面積は1174ヘクタールだが、 最終計画の滑走路が4本(現在は2本)、広さは5600ヘクタール、成田空港の約8倍の広さになるらしい。このように日本に近い 位置に立派な空港ができてしまったため、今後は日本を経由している航空会社がソウル経由になっていくかもしれない。なぜなら航空会社 が飛行機を離発着させるたびに空港に支払う着陸料が成田の半額以下と安く、まだまだ発着数にも余裕があり、将来の需要増にも 答えることができるためだ。実際、旅客に比べて急ぐ必要のない貨物便などは、ソウル経由が多くなりつつあるという。ここの風景を 見るだけでも、この空港の底知れぬ潜在能力が見出せる感じがする…。
 空港で両替をする。韓国のお金の単位はウォン。現在は100ウォンがだいたい9.3円ぐらいに相当するが、まあだいたい日本円に 0をひとつ付けた値ぐらいが韓国の単位になると考えて良いだろう。基本的に円→ウォンは韓国で行ったほうが得である。空港の出口には 日本語も通じる(というか外人慣れしているというか)両替所や銀行があるため、3日分ぐらいの両替ではここで十分なんじゃないかと 思う。黙って日本円を差し出すだけでウォンにしてくれるし…。まあ街中の銀行の方がレートは良いと思うが、やはり面倒かもしれない。 また、韓国では一番高い紙幣が10000ウォン札と、日本でいう1000円札ぐらいの高額紙幣しかない。つまり、5万円を両替したと すると、10000ウォン札が約50枚の束でくることになる。財布がデブになるのは確実だ。これでは何かと危険なので、両替する額は 最小限に留めて、あとはカードとか日本円を持ち歩いていた方が良さそうだ(韓国は物価が日本の半額ぐらいだし、高い買い物をするで あろう免税店では、だいたい日本円が使える)。

 さて、今回はツアーなので、出口で現地係員が待っていた。建物の外に出ると日本より少し寒く、ソウルが東京より 北に位置する(日本でいえば仙台ぐらい)ということを思わせる。しかし海に近いせいか風が強い。とっととバスに乗り込んだ。
 バスは空港を後にし、ソウル市へ向かう。仁川空港というのは、韓国第三の都市(第二は釜山)仁川市の沖にある永宗(ヨンジュン)島 に位置する。この島は隣りに龍遊(ヨンユ)島という島があったのだが、その島と島の間を埋め立て空港を建設。現在は1つの大きな島 になっている。とにかく島に空港があるので、ソウル市に行くには一度大きな橋を渡らなくてはならない。島を走っている時は大した景色 ではなかったが、橋を超え大陸側に入るとマンションも見え始め、人の生活が垣間見れる景色になってきた。
 道路は全然混む様子はなく、いたって順調な走りっぷりである。さっきから道の右手には建設中の鉄道と思われる敷地が通っている。 これは空港アクセス鉄道であろうか。完成が楽しみである。バスの車内ではガイドの方がしきりにソウルの説明をしてて、今後の予定も 話しているが、まず我々は免税店に向かわされるらしい。格安ツアーでは、こういった免税店とのタイアップで安くなっている場合が多いので 仕方ないが、こちらとしては早く自由行動になりたいものだ。
 またしばらく走っていると、前方右手に大きな土地が見えた。これが国内線専用の金浦空港である。空港ゆえ周囲に高い建物はないが、 結構街中にある感じだ。ここまで仁川空港から約30分。仁川空港からソウル市内まではだいたい1時間だから、金浦空港はソウル市と 仁川空港のだいたい中間地点にあるということになる。まあソウル市内ではバスは常に100キロとかで走れるわけではないから、単純に 半分というわけにはいかないが、だいたいそんな感じだ。
 金浦空港を超えると今度は左手に川が見えてきて、バスはそれに沿って進んでいく。ソウル市の真ん中に悠々と横たわる大河、漢江 (ハンガン)である。大都市に流れる川というのは結構好きなので、しばらく見入ってしまった。見たところ土手や遊歩道もあり、日本の 荒川や江戸川とあまり変わらないようにも見える。ふと前方に、川に架かる高架橋が見えた。これは道路ではなく鉄道のようで、偶然 にも橋を渡っている電車を見ることができた。これもまた見た目が日本とあまり変わらない車両が走っているように見えた。もうとっくに ソウル市に入っているのだろう。自分持参のガイドブックの地図を見ると、今私が見たのは地下鉄2号線らしい。おそらくソウルに観光で 来る人のほとんどが、この景色を見てソウル市中心部に向かうのであろうが、私にとってこの景色はかなり脳裏に焼き付いている。ソウル にようこそ!みたいな感じを受けたのだ。旅行の序章としては十分過ぎる程の演出だった。まあ、どう思うかは人それぞれだろうが。
 その後はどのような道を通ったのか、とりあえず一般道に出て坂を上がったり下がったり、トンネルなんかにも入ったりして、とにかく 新羅免税店というところに着いた。ここでひとまず買い物タイムで、また出発するのは45分後だという。特に買い物がしたいわけでは なかったが、バスの中にもいられないため、とりあえず店の中へ。結構混んでいたが、そのほとんどは日本人といった感じだ。
 まずグッチやルイヴィトン等を眺める。もちろん買うわけではないが、韓国の免税店の価格の相場が気になるので、値段だけでも見て おきたい。成る程、カバンや財布はグアムの免税店とだいたい同じぐらいの値段だ。グアムは自由貿易港の国だから関税がかからず、 値段が安いのは頷けるが、ここでもそれと同じ値段ぐらいなのはすごい。また、シャネルやクリスチャンディオールの香水、化粧品なども 見てみたが、こちらはグアムより安いのではなかろうか。グアムでの値段があまりはっきりしないので何とも言えないが、とりあえず 成田の免税店より安いのは確実だ。実はソウル市内には免税店が6軒あり、すべてが品揃えや価格に定評のある店なのだそうだ。また、 これもすべての店が韓国政府の厳しい審査を経て運営されているので、品質にも安心がおけるらしい。あまり興味がなくて免税店に入って みたものの、この充実度。韓国に免税店巡りをしに来るだけの価値はあるかもしれない。

渥美の夢実現!

  さて、免税店を後にし、我々はようやくホテルへと送られる。今回泊まるホテルはレインボウホテルという安めの ホテルで、場所はソウルまで一駅の、南営(ナミョン)という駅のすぐ近くだ。部屋もちゃんと清潔に保たれていて、今回は2泊3日で ひとり3万円強ぐらいのツアーなので、これくらいの部屋で十分満足だ。しかし、トイレの『紙は便器ではなく、横のゴミ箱に捨てて 下さい』という表示には参った。韓国では下水がそこまで発達していないのか、格安のホテルやレストランなどは、こういうタイプ?の トイレが多いらしい。う〜ん…ゴミ箱に捨てるのか…。厳しいなあ。渥美も私もかなり悩んでいた。
 とにかくお腹が空いたので、食事をしに行こう。この辺りは付近に大学などがあるということで、安いレストランが多数あるそうだ。 ガイドさんに、なんかお勧めの店はありますかと聞いていたのだが、全部おいしいですよと言われ、結局自分達で探すことになっている。 まあ私としてはそっちの方が面白いからいいのだが…。もう時計は20:00を回っていて、外はすっかり真っ暗だ。それにしても何だか 寒い…。日本の3月初旬ぐらいだろうか。薄手のコートがほしいくらいだ。ここは駅に本当に近いらしく、時折電車が音を立てて通過して いくのが聞こえる。一瞬南営駅前まで行ってみたが、そこはガード下の駅で、日本にもよくある感じの改札口の雰囲気だ。日本と同じく 時刻表(海外の地下鉄ではない場合が多い)もあった。乗ってみたいが、ここは我慢だ。レストランを探す。色々な店があって本当に 迷うが、とにかく我々はカルビが食べたかった。そして一軒の店に当たりをつけ、その中へと入った。
 ここはちゃんと焼肉のお店で、お客も結構多かった。メニューは韓国語、いわゆるハングル文字で書いてあるのでよくわからないが、カルビ ぐらいは通じるだろう。あとビールだ。早速注文してみるが、ラッキーなことに、ここの店主は微妙に日本語がわかるらしいではないか! チャンスとばかり、片言ながら色々頼んでみた。いや、これは楽しみだ。
 まずビールが来て乾杯。そして肉がくる。もちろん骨付きのカルビだ。韓国ではこの骨をはさみで切り落とすのだが、この一連の動作を やるのが渥美の今回の目標だったらしい。本当に嬉しそうに骨を切り落としている。ていうか、もう目標が達成されてどうする…。さて、 韓国の焼肉は基本的にタレではなく味噌で食べ、これを野菜に包んで食べる、いわゆるサンチュ式に食べるのが一般的だ。もちろんこの 巻く用の野菜は無料で頼める。また、韓国のレストランにはキムチなど、付け合わせが必ず出るが、こちらも無料だ。というより、それら の皿が空になると、日本の水のような感覚でどんどん御替わりがもらえる。そういえば、韓国のレストランは海外では珍しく、入店時に 水が出てくるようだ。これは浄水機から汲んできているので心配はいらない。また、自分で汲んでくることもできる。韓国の レストラン事情もなかなか良いではないか。これなら初めて来た人でも気軽に立ち寄れそうだ。店の主人も「また来て」と言っていたし。ここでの 料金は、飲んで食べて(いや、かなり食べた)ひとり2000円弱ぐらいだった。日本よりは断然安いといえるであろう。

 さて、レストランを出たのがもう21:00過ぎ。お腹がいっぱいなためあまり動きたくないが、今回は2泊3日と短い 旅行だ。ここでホテルへ戻っては勿体無い。というわけで、南大門(ナムデムン)という場所に地下鉄で行ってみることにした。
 先ほど南営駅の近くと書いたが、実は違う路線の淑大入口(スクディブク)駅にも近く、これなら乗り換え無しで南大門の近くまで 行ける。こちらは地下鉄4号線で、向かうは會賢(フヒョン)駅。ここから2つ目で、値段は初乗りで900ウォン(90円)と安い。 だが、これでも高くなったほうで、3年くらい前は初乗り600ウォン(60円)だった。切符の自動販売機はあるにはあるのだが、何と お札は使えない!…1000ウォン以上はお札のみだというのに…まったく。5号線以降の路線ではお札対応の自動販売機があるらしいが、 これは早く改善してもらいたいものだ。ではそういうときはどうすれば良いかというと、有人の切符売り場で購入するという、何だか田舎 の駅みたいなシステムになっている。まあ片言で「フヒョン(まで)」と言っても通じたので、困るということはなさそうだが…。
 いよいよ電車がやってきた。何度も言っているが私は電車が好きなため、これに関しては見るべきものが多いのだ。ステンレスに赤と 青の線の車両で、日本で走っててもおかしくないようなデザインだ。とりあえず右側通行なのが日本と逆で目新しいが、中国や台湾でもそう だったし、何より車が右側通行なので、今更驚くことではない。むしろ驚いたのは車内に入ってからだった、車幅が広いのである。 車内はロングシートで、窓を背にして座るタイプなので日本と同じだが、その椅子に座ったとき、明らかに向かいの座席まで距離がある のがわかるのだ。どうやらソウルの地下鉄は日本のより車体が大きいらしい。天井や車両の長さはそう変わらないかもしれないが、 とにかく幅はある。だから、車両を前面から見てみると、どことなく横幅が日本のよりあるような気がしなくもない。渥美にもこのことを 伝えてみたが、「ふ〜ん、まあそうかもしれないね」…と、あまり興味がなさそうだ。まあ当たり前か。私だけ変に感動しつつ、電車は 會賢駅に到着した。
 この南大門というエリアには“何でも揃うマーケット”の南大門市場(市場はシジャンと読む)があり、とにかく夜は人でごったがえす らしく、その風景を我々は見てみたかった。また、屋台を覗いてみれば何か面白いものもあるかもしれないし…。
南大門にて…とりあえず
屋台だけにでも寄ってみる  なるほど、確かに市場らいし感じはある…だが…人が思いの他少ない!どうやら来るのが遅かったらしく、ピークは過ぎ、お店も片付け に入っている様子だった。しかしせっかくなので歩いてみる。何だかメガネ屋が多い気がするが、これは南大門市場に韓国 最大のメガネ問屋があることに他ならない。ゆえに市場内にはたくさんのメガネ屋があるわけだが、日本語ができる店員が常駐している店も多いので、ここで メガネを作ってもらうのが流行っているらしい。そういえば日本ではペ・ヨンジュンが流行っているから…メガネも流行っているので あろう…メガネ屋の店の前には彼のポスターが貼ってある店も多かった。
 “ソウル食品ノリのり天国”という変な名前の海苔屋を過ぎ、MESAというショッピングビルに到達した。12階建てで、地下2階 から7階まで商品が詰まっていて、中には所狭しと店がたくさんある。8階は各種料理が楽しめるフードコート、9階はレストラン街と なっているそうだが、それより驚いたのは、店の営業時間が朝10:00から翌5:00までというものだった。実はソウルにはこのような営業 時間のショッピングビルは結構存在する。確かな需要があるのだろうが、そのエリアは、ここ南大門とは別の場所で、その名も東大門 (トムデムン)という場所だ。今度はそっちに行ってみることにした。

これこそが東大門。立派である

 先ほどの地下鉄4号線で會賢駅から4つ目が東大門駅だ。駅を降りてみると、まず地名の由来のまさに東大門という 門が、我々の前に姿を表わした。ライトアップされていて、ちょっと綺麗だ。確かにさっきより人は多く、せっかくなので歩いてみる。 しかし、後から気付いたのだがこの時方向を間違えたらしい。本来なら朝までやっているショッピングビルや屋台が連なるエリアがあったのだが、 そちらとは逆に行ってしまったらしい。それなのに我々は横道とか逸れていってしまうから、どんどん人気がなくなってくる…。そして… 気付いた時にはもう足が疲れているといった状態だった
 しょうがない、帰るか…。地下鉄でも良かったが、足的にはタクシーの方が良いと言っている。だが、韓国のタクシーは初乗りが 1600ウォン(160円)と安い。つまり、2人以上いたら地下鉄より安くなるわけで、この選択は賢いとも言えるわけだ。また、 韓国にはタクシーが2種類あり、それは“模範タクシー”と“一般タクシー”だ。一般タクシーはいわゆる普通のタクシーだが、模範 タクシーは黒塗りの2000CCクラスの大型車で、こちらの初乗りは4000ウォン(約400円)。ちょっと割高だが(それでも 日本より全然安いが)、英語が通じ、一部では日本語が通じる車があるなど、サービスも全般的に良いらしいのだ。だが、我々は一般 タクシーで十分だ。渥美がタクシーをつかまえたいと言い出したので、黒塗りの模範タクシーは高いからやめてね、と私は事前に注意を しておく。そして渥美がつかまえたのは…最大8人まで乗れるジャンボタクシーというものだった。料金体系は模範タクシーと同じ…。 結局我々のホテルまでは12000ウォン(1200円)ぐらいかかってしまった。また我々は1つ大人になったのである。

  2005年4月21日(2日目)

 朝は9:00ぐらいには起きた。天気も晴れているし、なかなかのどかな朝だ。窓を開けてみると、建物の向こうに 電車が走っているのが見えた。ガイドブックによるとあの線は1号線らしい。1号線は地下鉄と国鉄双方が相互乗り入れしている路線で、 この南営付近は国鉄路線となっているらしい。また、並行して国鉄の長距離路線も走っていた。東京でいえば、常磐線の金町駅とかで 千代田線乗り入れ用の線路と、そこを通過する快速用の線路が並行して走っている…ようなものであろうか…余計わかりにくいか…。 結構電車が頻繁に走っていたので、しばしその眺めを楽しんでいたが、通勤電車に交じって、韓国の新幹線KTXも目に飛び込んできた。 おー格好良いなあ。韓国の新幹線は、フランスの新幹線TGVの技術を導入したので、見た目にもTGVとよく似ている。…というか そのままなのか。とにかく朝からエキサイティングな感じだった。

 今日はまず韓国エステに行こうと思っている。昨日ガイドの人に頼んで事前に予約してもらっていたので、10:00に このホテルに迎えにきてもらうことになっていた。出る準備をしロビーで待っていると、早速迎えの人が来た。車に乗せられいざエステへ …これもまたどんなルートで行ったのかわからず、とにかく目的地の漢江汗蒸幕(ハンガンハンジュンマク)という所に着いた。
 汗蒸幕といいうのは韓国伝統様式のサウナのことで、李氏朝鮮の時代からある伝統的な女性用のサウナだが、もちろん男性がやったって 構わない。中に入るとまず、この施設の説明が始まる。もちろん日本語でだ。おそらく日本人利用者が最も多いのだろう。この施設には 先ほど言ったサウナと風呂が数種類あり、そのあとマッサージを受けるというもの。つまり、まずサウナに入って汗を流し、その後 リフレッシュするため風呂へ。そして体がほぐれたところでマッサージというわけだ。何だかマッサージを受ける前に十分リラックスして しまいそうだが、とにかく言われたままにする。
 まず、円錐式にレンガを積み上げたドーム状の窯のようなところに行く。これが噂の汗蒸幕だが、普通のサウナに比べ90度〜150度 とかなりの高温のため、中へは麻の布袋をかぶって入るらしい。確かにすごく熱いが、汗がポタポタ出てきて気持ち良いかもしれない。 体からいらないものがどんどん排出されていく感じだ。汗蒸幕は解毒作用、抗菌作用、血をきれいにする作用があるという。不健康の私に とっては何よりだ。「俺もう駄目だ!」と、渥美は熱さに耐えれず先に出ていってしまうが、これは結構体に効いたとみた。
 その後は汗を流すため、シャワーを浴び、風呂に入る。ここでは人参風呂や黄土湯の風呂、緑茶風呂や水圧が出ている風呂など色々あるが、 これらも健康にいいらしい。特に人参風呂は様々な効能が証明されているという(ストレスや疲労の低下、肌の保湿効果など)。さすが 高麗人参だ。そしてこの風呂のあと、改めてサウナに入るのがまた良いらしい。確かに風呂もサウナも数種類あるのだから、色々な効能を 確かめたいところではある。
 そしていよいよマッサージだ。というか、風呂場の奥でやるらしく、我々は体を隠すのが小さなタオル一枚なんですけど…しかし、 マッサージ師はそんなの気にするなといった感じで、奥の台が並んである部屋に連れていき、我々を台の上に横たわせた。なんか不安感が つのる…。
韓国エステに行ってすっきり顔の渥美  ここでは全塩マッサージ、指圧マッサージ、胡瓜パック、そしてアカすりをやってくれる。これが韓国エステの基本的なメニューなの だが、アカすりには驚いた。本当にバラバラとアカがとれるのだ。恐らく全部集めたらピンポン玉ぐらいの大きさにはなるであろう。 全身がつるつるになる思いである。また、足裏の角質取り(これは別料金だったが…)もすごかった。こんなに取れるものなのかと思って しまう…。しかし…さっきから我々は全裸に近い状態でなんか気まずい。私が横たわった台は、たまたま端っこの台だから良かった ものの、渥美は両側にも台がある場所で、また途中から別の2組も入ってきて、渥美は知らない人2人(この人達もほぼ全裸だ)に挟まれ ている図式に…。しかもマッサージという形式上、横に向かなくてはいけない場合もあって、それが偶然にも隣の人と向かい合う形に (繰り返すがお互いほぼ全裸で)なってしまったりしていて、その気まずさといったらもう…。私は笑いを堪えるのに必死だった。

アルファベットの看板が目立つ梨台院  マッサージが無事終わり、少しこの建物の外に出てみる。地図を見てみると、ここは梨泰院(イテウォン)という場所らしかった。 近くに米軍基地があるため、インターナショナルなエリアとして発展してきた街だ。確かに、店の看板も韓国語ではなく、どちらかと 言うとアルファベットやカタカナ、漢字が多く、無国籍な街という印象も受ける。東京でいえばどこだろう…六本木とはまた違うし… 何となく東京の福生に近い感じはしたが、またそれとは別の雰囲気を持つ街だと思う。
 そんな中、渥美がバーガーキングを見つけて、行きたいと言い出した。確かにバーガーキングは日本から撤退してしまったので、ここで 行きたい気持ちはよくわかる。でも、グアムや台湾にもあったからなあ…。しかし、ここ韓国ではプルコギバーガーなどオリジナルの メニューもあるので、行く価値はあるかもしれない。相変わらずワッパーは大きかったが、味も結構イケてた。店の内装も日本のときと 変わらない。さすがチェーン店だと思う。
 さて、先ほど行ったエステでは車の送り迎えがあるため、どこか行きたいですかと聞いてきた。とにかく賑わっている所がいいなと思った ので、そういうところはあるかと聞くと、それなら明洞(ミョンドン)が良いですよ、と答えてくれた。明洞はソウルの古くからの繁華街 明洞のメインストリート。修学旅行生もいる。
また、韓国では女の子同士でも腕を組むのは当たり前 明洞にある屋台で少し腹ごしらえ で、かつては東京の銀座に例えられることが多かった。ちょうど昼頃なので、街の様子がどうなっているのかも気になる。早速そこに 行ってみることにした。

 明洞は南大門に近いため、車はそこを過ぎてから程なく着いた。周りには立派なビルが多数あり、人も事の他多い。 そして、どちらかというと若者が多い。確かに若者向けのデパートが多く、スターバックスやロッテリア、マクドナルドなどのファスト フードの店が多いので、若者が集まるのは自然といえる。また、ファッションとコスメのショップの多さではどこにも負けないのが明洞 らしいのだ。このことから、東京でいえば銀座…というよりは、渋谷か原宿のほうが雰囲気的には近い。明洞のメインストリートは歩行者 天国になっていて渋谷のセンター街みたいだし、ちょっと狭い道もあるのだが、辺りのショップの多さから“ソウルの竹下通り“と 呼ばれている道もあったりするのだ。だが、こういうお洒落な道にも屋台みたいな店があるのが面白い。庶民感覚でも利用できるのが、明洞を 若者の街として賑わす理由なのかもしれない。
 ここで昼ご飯にした。明洞は店がありすぎて選ぶのに困るが、とりあえず目についた店に入った。ここではビビンバを頼む。ところで、 ビビンバは日本的な発音。韓国式に言うならば“ビビムパプ”となる。日本でも人気の石焼ビビンバは“トルソッビビムパプ”となる。 ここでももちろんキムチなどは勝手に出てくる。我々日本人からしたら、そういうのが出てこないという思いでメニューを頼んでしまう から、また予定以上にお腹がいっぱいになってしまった。まったく…、ここで動きたくなくなってどうする…。
昼ご飯を食べた店での付け合わせ
これで2人分だが、これらは無料だ  ご飯も食べ終わり外に出て、とりあえず明洞のメインストリートへ。やはりここが一番賑やかだ。渥美はというと、露店に並んでいる CDを興味深げに見つめている。そして、露店でCDを売っている人に何か話しかけてる。そして1分後、ついにCDを購入し 始めてしまった。何を買ってきたのかというと、今韓国人で一番人気のあるアーティストが入っているCD…だという。そこで売っていたのは 複製品、つまりコピー物で、色んなアーティストのコンピレーション(おそらくその店の人がピックアップしたのだと思うが)アルバム がほとんど。値段は一枚3000ウォン(300円)程度。なんとかお店の人と会話をし、その人気あるアーティストが入っているだろう と思われるCDを2枚、買ってきたのだった。しかしこれは日本に帰るまで何かわからない(その前に誰かわからなさそうだが)。これは とりあえず帰ってからのお楽しみにしよう。

 我々が次に向かったのはソウルタワーという所だ。ソウルタワーは明洞の背後にある山、南山の上に建てられて いて、タワーの高さは約230メートル。南山の標高265メートルを足すと、およそ500メートルもの高さになる。初めての台湾の 時にも書いたが、初めて来た場所というのは、まずいったん高いところから眺めるのが、街の様子もわかっていいと思っているので、 このソウルタワーも例にもれず、上ってみようということになった。
 徒歩でも行けるが、ロープウェイでも行けるらしいので、我々はそっちの方法を選んだ。もう歳かな…。しかしこのロープウェイの 乗り場までも、結構坂を上がらなければ辿りつく事はできず、地図で見ると結構近いのに、明洞の駅からは軽く20分ぐらいかかって しまった…。ホント歳だな。
 ロープウェイに乗る前に疲れてしまったが、我々に追い討ちをかけるように、乗り場にはこんな張り紙が…。『ソウルタワーは現在、 ロープウェイの乗り場から山頂を見上げる
ソウルタワーが見えるが、現在は改装中 今度はロープウェイから地上を見下ろす
左側が南大門エリアで、右側が明洞エリアだ 全面改装中のため、中に入れることはできません(ロープウェイで山の上にはあがれます)』と。…なんとも運が悪い。せっかくここまで 来たのに…。しかも。4月〜9月いっぱいの期間らしい。時期的にも惜しい感じだし、台湾の台北101大楼から通算すれば2連敗だ。 だが、このまま帰るのも悔しいため、とりあえず上にはあがろうということになった。
 ソウルタワーは営業してないのにも関わらず、ロープウェイに乗る人は結構いて、南山の人気を思わせる。そういえば山麓にはまだ桜が 咲いていたから、それを見に来てる人達なのかもしれない。ロープウェイが動き出すと、観光案内のテープが流れ出して、ああ日本と同じ だなと思ったが、韓国語、英語のほか、日本語の案内までされていたのには驚いた。よほど日本人が多いのだろうか。日本で、韓国語の 案内までするロープウェイというのは聞いた事がない。韓国は結構日本人に優しいところがあるのかもしれない。
 3分ほどで山頂に到着。眺めは…というと、手前に建っているレストランが邪魔してて、まさに大絶景…とはいい難い。おそらくあのレストランの 屋上からは結構いい眺めなのだろうが、もちろんそのためには何か注文しなくてはならない。背後には巨大なソウルタワーが、もう間近に 控えているが、なんだか恨めしい思いである。たぶん、ロープウェイから見た景色の方が楽しいだろうな。我々は10分〜20分しか 頂上にいなかった…。

 さて、なんとなく肩透かしをくらった感のある我々だが、気を取り直して今度は仁寺洞(インサドン)へ向かう。 もう面倒なので、タクシーで向かう。ここも大小さまざまなショップやレストランがあるエリアだが、どちらかというと伝統的な小物を 扱うお店や、伝統菓子の屋台、そして美術ギャラリーなどが存在する。決してお洒落という場所ではないが、メインストリートも石畳 敷きだし、このクラシカルな雰囲気を求めてくる人は結構多いという。メインストリートは全長500メートルほど、むしろそこを中心に 路地が毛細血管のように延びていて、真の面白さはそっちなのかもしれない。今回はメインストリートでお土産探しという、なんだか ベタな行動をとっていたが、今度来た時にはぜひ路地裏のほうも行ってみたいものだ。また、韓国の伝統芸能を肌で感じる事ができる エリアなのか、日本人はもちろん、欧米人が多いのも目についた。そして、伝統菓子を売っている人は色んな国の言葉で説明をしている というのも印象的だった。
 ここは満足だった。この調子でどんどんいきたい…という意気込みだったが、次に行った景福宮(キョンボックン)というところは、営業時間 が既に過ぎていたため、ここも敗退。ここは李王朝の創始者である李成桂が1394年に建てた王宮で、見ておきたかったのだが断念だ。 まあ今の建物は復元されたらしいものだから、価値としては少々落ちるのかもしれないが、それでも立派な建物である。

  仕方なく次に向かったのは大学路(テハンノ)だ。ここはもとソウル大学があった街で、学生街として発展。大学 移転後は若い芸術家が集まり始めて、いつしか芸術の街と言われるようになったエリアである。ここではジャズやロックのライブハウス などが多いのも特徴で、これはできれば行ってみたい。
若者が多かった大学路
恵化駅前にて  街についたが、確かに若者が多い。そして、彫刻が置いてある道があったりするなど、どことなく街の雰囲気にも芸術の香りがする。 露店などにも衣服やアクセサリーなどが売ってたりして、ますます若者層の支持を受けている感じだ。きっと手軽な値段で買えたりする のだろう。ここは大きく分けて2つのエリアがあり、1つ目は恵化(ヘファ)駅からみて東側で、美術館をはじめとする文化施設や、今 人気の洋風の外観を持つレストランがあり、ライブ演奏があるバーも少なくないという。もう1つは通りを挟んで反対側、駅から みたら西側のほうで、こちらは結構庶民的なエリア。さて、我々はというと…とりあえず庶民的な方へと向かった。
 ちょっと疲れも出てきたため、何となく目についた喫茶店に入った。スターバックスやドトールとかの韓国バージョン的な店だ。言葉に 困りながらもなんとか注文をし、一息つく。韓国に来てやはり何が違和感あるかといったら、きっとハングル文字に代表される韓国語で あろう。英語圏はアルファベットだし、中国語圏は漢字で書いてあるので何となく意味がわかるのだが、丸やら四角やら、何だか暗号 みたいな文字のハングル文字で書かれていても、何が何だかさっぱりわからない。店の看板ひとつから、何て書いてあるのかがわからない のだ。そういえばこのハングル文字、よくハングル語と言っている人がいるが、これは正式には間違い。韓国語であって、 ハングル文字なのである。ようするに、日本語とひらがな…みたいなものだ。間違ってもひらがな語とは呼ばないであろう。 さて、このハングル文字だが、15世紀と遅くにできた文字だけあって、とても合理的にできているらしい。母音記号と子音記号を組み 合わせて文字を作るので、記号を覚えれば意味はわからずともとりあえず読めるようにはなるというのだ。要するにローマ字の理屈と同じ ことか。といっても、何から手をつけて良いのやら…。
 「あっ!」と渥美が声を出す。「あの記号、カ行の発音じゃね?」…。渥美の目線はカウンター上に設置されているメニューに注がれて いた。メニューにはハングル文字の他、英語でも表記されていたため、とりあえず我々には意味はわかったのだ。そして、カフェラテの 「カ」とコーヒーの「コ」、どちらにも片仮名のヲみたいな記号が使われている。早速ガイドブック(巻末に少しだけハングル文字の説明 があった)を見てみると、確かにヲは「K」の発音だった(厳密に言えばKh…『カ』を息を吐きながら強く言う感じ…らしい)。おお すごい。ということはこれは子音記号ということか。ならば「カ」の文字の『ヲ』の右隣に付いている片仮名の『ト』みたいな記号はア段 の発音で母音記号なのか。本を見てみるとやはりそうだった。トは「ア」(a)の発音だったのだ。つまり、『ヲト』で「カ」(Kah)と 発音するということだ。そして「コ」の方の母音記号はやはり「オ」(o)の発音らしく(トを左右逆にした感じの記号)、なんと自力で ハングル文字を解読してしまった。なんだか自分達で発見できたのがこの上なく嬉しい。
 そして、我々はもう1つ決まりを発見した。Oという記号があるのだが、これは母音だけを読む時に使う記号らしいのだ。つまり、 ハングル文字は必ず2つ以上の記号が組み合わさって使われるということで、例えば「ア」は『Oト』と書くみたいなのだ。どうしよう… すごく楽しいぞ。さらに3つ以上の記号が組み合わさったり、“パッチム”と言われる日本には無い発音があったりと、この先は難しく なる感じだが、とにかく基本を目の当たりにできて良かったと思う。
 そんなわけでこうやってハングル文字を見ていくと、あれ?あれはもしかしてオレンジジュースと読むんじゃないか?とか、さっきから 「ノレ」「ノレ」って書いてある店があるけど、あれ見たところカラオケ屋…って意味だな。…等など、新しい発見が次々に出てくる。 もっと韓国語を読ませてくれ!といった感じだ。いっきに街に出るのが楽しくなってきてしまった。

 ハングル文字が面白くなってきたところで外に出る。そして、ライブに行ってみようということになった。なんや かんやで一緒にバンドをやっている我々である。ライブの1つか2つでも見ないといけない。だが、どちらかというと私的にはジャズを 見てみたい。私が基本的にジャズ好きというのもあるが、韓国のジャズ事情というのにも興味があるからだ。韓国とジャズというのは、 私の中ではどうも結びつく感じがしない。また、ここは若者の街だけに、さっきから街に音楽が流れているのだが、流れているのはきっと 韓国ポップス。しかもバラード系(情熱系)ばかりだ。言うならば、「冬のソナタ」のテーマ曲みたいな雰囲気の曲ばかり流れる感じだ。 演奏を楽しむ渥美 曲調が変わっても、韓国の歌手はクセのある歌い方というか、なんか気になる歌い方で、しかも同じ曲も何度もかかったりするので、 耳にタコな感じだ。ロックとかのライブハウスに行ったら、こういう曲ばかり聴かされる羽目になるんじゃないかと思ってしまう。そんな 理由もあって、今回はジャズにしてもらった。
 我々が向かった店はチョンニョンドンアンというジャズクラブ。店名は「千年間」という意味らしい。ジャズクラブにしては結構大きめ な店で、300人くらいは収容できるらしい。毎日出演者は変わるが、今日は“なんたらラテンジャズオールスターズ”というバンドが 出るそうだ。店の外にはそのポスターみたいなのが貼ってあって、変なおっさんがそこに写っていた。このバンドのバンドマスターだと いうことは一目でわかった。料金はひとり7000ウォン(700円)オンリーと書いてあって、おそらくこれがライブチャージだろう。 そして、これにはドリンクも付いているらしいので、日本の感覚からするとずいぶん安い。せっかく安かったので、我々は食事もオーダー した。こちらは10000ウォン(1000円)以上した気がする。
 客は最初は少なかったが、ステージが近付くにつれ、続々と入ってきた。客席が8割方埋まったところで、早速ステージが始まった。 さっきポスターに出ていたおっさんがステージに上がってきた。ステージといっても、ジャズクラブなので客席との目線はあまり変わら ない。そのおっさんはボンゴを叩き始めた。どうやらパーカッショニストのようだ。さすがラテンジャズオールスターズ。そしてドラム やベース、ピアノも加わり、あとトランペットやトロンボーンの奏者も出てきた。なるほど、確かにオールスターズだ。
 結構みんな上手く、しっかり演奏しているという感じだ。曲も“酒とバラの日々”などのスタンダードも結構やっていて、たまに おそらくオリジナル曲だと思われる曲も演奏していた(明らかに曲調が他と違ったので)。そして、途中からボーカルの女の人が出て 歌舞伎町に街並みがそっくりだった鍾路 きた。突然みんな拍手喝采だ。それほど人気のあるボーカリストなのだろうか。というか、私の前に座っていた女の人は、今出てきた ボーカルの人に対し、アイドルを見るかのような眼差しで見つめている。ん〜何か違うような…。まあ確かに上手かったけど。
 演奏的には無難な感じがしたが、それでもさっきまで韓国ポップスを聴いていた身にとっては気分転換になって良かった。とりあえず 韓国でもジャズを(しかもラテンジャズも)やっている人はいる。それがわかっただけでも満足だ。もう時間は23:00にもなっている。 2ステージ見終えたところで、我々はここを後にし、次なるエリア、鍾路(チョンノ)へと向かった。

 鍾路こそ、日本でいえば新宿の歌舞伎町だ。ここでは夜のほうが賑やかで、街も歌舞伎町のイメージそのまままな 感じだ。一応、夜でもやっているレストランはないかなと思ってここに来たのだが、レストランはそのほとんどがさすがに営業終了。 やっているのはほとんど飲み屋っぽかった。さっきから看板にHOFと書いてある店が目立つが、これはいわゆるソウルのビアパブで ある。これは日本に帰ってから調べてわかったことなので、この時は意味不明の看板に悩むばかりだった。
 しかし本当に歌舞伎町に似ている。街の外観もそうだが、ここを歩いている人もそうだ。お勤め帰りのサラリーマン。そして、その 人達に声をかけるキャッチの人。インカムを使って何やら店の人とコンタクトをとっている様子のスーツ姿の人。まさに日本の歌舞伎町 でも行われている光景がそのまま存在しているのだ。どこに行っても夜の繁華街というのは同じなのか。我々は色々鍾路を歩いてみたが、 特にお腹を満足させてくれそうな店はなく、あきらめてホテルに戻ることにした。もう夜中の24:00を回ったことだし…。もちろん今回は 一般タクシーで。
 部屋に戻ると、なんだか部屋が暖かい。部屋が…というよりは部屋の床が暖かいっぽいのだ。これがオンドルというもので、日本より 微妙に寒いソウルでは、この機能を備えたホテルが多いという。いわゆる床暖房ですね。私は別に冷え性ではないが、冷え性の人にとって この機能は嬉しいことだろう。韓国ではホテルの他に旅館タイプのものもあって、そこはベットではなく、床に直接布団を敷いて寝る。 その時こそこのオンドルは効果を発揮するのだろう。今日の夜は結構寒かったので、この機能は良かった。しかし、これでは床に物を 置いたままにしておくと、かなり熱くなってしまうのではないかと思う。おそらくチョコ系のお菓子は溶けるであろう。私はカメラも 持ってきているので、これを置いたままにしておくのは危険だ。床に何も置いていないのを確認しつつ、そろそろ眠ることにした。

  2005年4月22日(3日目)

 もう最終日だ。今日はツアーの人が朝7:50にホテルに迎えに来る。帰りの飛行機が11:30発と早いのでこれは仕方 無いが、何かし忘れていることがあるような…。そうだ、電車にほとんど乗っていない。
 一昨日地下鉄に乗ったところ、韓国の鉄道は他のアジア諸国に比べ、かなり発達していることが見受けられた。これはもっと乗ってみない といかんのではないか…。幸いここは1号線の南営駅のすぐ近くだ。今は朝の5:30…乗れる。というわけで、寝ている渥美に「ちょっと俺 電車に乗ってくるわ」と一言いい、1号線の南営駅に向かった。
ほとんど日本の駅と変わらない
1号線の南営駅にて…右側が長距離線  この南営駅というのは本当に日本の私鉄みたいな駅で、高架橋の駅なのだが小ぢんまりとしているのが良い。まずここから一駅のソウル に向かうため、窓口で(ここも自動販売機はお札が使えなかった)切符を購入する。改札を通り階段を上がってホームへ。ホームの雰囲気 も日本とそっくりだ。このホームの隣には長距離路線用の線路があり(長距離用はホームがなく通過する)、目の前をKTXが走って いるのに感動。どうやらTGVというより、スペインのAVE(アヴェ)に似ているようだ。まあAVEもTGVの技術で造ったので、 似ているのは致し方ないと思うが…。しかし、まだ朝の5時台なのに、ずいぶん早い時間から走っているなあと感心する(日本の新幹線の 東京発は朝6:00が始発だ)。また、地下鉄は右側通行だけど、国鉄は日本と同じ左側通行らしい。確かに韓国の鉄道の歴史は日本と深く 関わっているので、これはやむを得ないとして、混乱はあったりしないのだろうか。そんなことを思いながらも、電車もやってきたこと だし、早速乗り込むことにしよう。
 車内は相変わらず幅が広い。やはりこれが韓国の標準なのだろう。一昨日乗ったのは地下鉄だったから外の景色は望むべくもないが、 今回は地上の路線だ。景色(といっても見えるのは住宅ばかりだが)が見えるのはやはり良い。順調に走っていると、いきなり車内の照明 車幅が日本のより幾分か広い がパッと消えた。あれ?何事かと思う。そして、またすぐに照明が着いた。これはまさか…そう、死電区間(電気の通らない区間)を 通ったのである。たぶん意味がわからないと思うが、昨日書いたように、この1号線は、国鉄と地下鉄が相互乗り入れをしている路線で、 ソウル駅から地下鉄路線になるのだ。ここまでは日本でもよくある話しだが、実は地下鉄と国鉄で電化方式が異なり(国鉄は交流25000 V,地下鉄は直流1500V)、この境目ではどうしても電気の通らない区間を走らなければならなく、電車も電気を切り換えるために、 いったん電気を切ったというわけだ。日本では常磐線の取手〜藤代間が有名だが、この行為が都心で行われているというのがびっくりだ。 ソウルにはこういった区間があと数カ所あり、半ば日常と化しているのかもしれない。
 死電区間を通過して、電車は地下へと入る。確かにここから地下鉄線になるようだ。地下に入ると間もなくソウル駅に到着、私もここで 降りる。このソウル駅、KTXを始めとした国鉄の長距離路線起点となる駅で、まあ日本の東京駅みたいなものだ。今はKTXができて 駅舎どころか、駅自体も新しくなったが、昔のソウル駅の駅舎はどことなく東京駅に似ている気がする(修築の上、文化会館に生まれ ソウル駅。左奥のガラス張りの建物が
現在の駅舎で、右手前の建物が旧駅舎 変わることになっているらしい)。ところで、ソウル駅と言っているが、地下鉄のほうは“ソウルステーション”という駅名で、この駅 だけ漢字表記ではなく、“Seoul Station”と書いてある。要するにソウルステーション駅なのである。日本語に訳せばソウル駅駅。何か 変だが、この駅が長距離路線のソウル駅の乗り換え駅となっているから、こんな名前なのである。日本風に言えば“ソウル駅前”みたいな 意味合いだろうと思う。
 私はKTXの乗り場の方にも行ってみた。さすが開通が2004年4月と新しいため立派で、整然とした雰囲気を受ける。ここから釜山 や大邸(テグ)などの韓国の代表的な都市に向けて発着していると思うと真に感慨深い。今回は時間がないので、あの改札の向こうに行く ことは不可能だが、いつか乗ってやろうと思う。駅の周りを散策したあと、私は地下鉄の駅のほうに戻った。
 今は6:20を回ったところ。まだ時間がある。もう少し乗っていても大丈夫だろう。今度は私は今来たルートを逆に戻り、南営駅の先まで 行ってみることにした。まず南営駅に戻る。そしてそのまま乗っていれば次の駅、龍山(ヨンサン)駅だ。ここもソウル駅に負けじと 大きい駅だ。それもそのはず、ソウル駅からは基本的に釜山方面に行く長距離列車が発着する駅だが、こちらは光州(クヮンジュ)など、 韓国の南西側に向かう列車をすべて取り扱っている駅なのだ。面白いのは、ソウル発着の列車はこの駅はすべて通過すること。完全に客の 住み分けをしているのだといえる。
1号線の電車。交直流対応の車両なので
パンタグラフ周辺の機器が賑やかである  さて、さらにもう一駅先に進むと、電車は漢江を渡り始める。眺めがよく、大変気持ち良い。朝日が差してきているのでなおさらだ。 そして鷺梁津(ノリャンジン)駅に到着。ここで降りることにした。線路もいつの間にかもう2本(上下線1本ずつね)増えてて、こちら にも通勤路線が走っているのだが、これはこの区間が複々線だということなのだろうか。この駅はいかにも通勤路線の駅といった感じで、 これといって特色はないが、庶民的な駅なので人々の生活感が感じられて良い。そろそろ朝の通勤ラッシュが始まるのか、乗客も上り方面 (ソウル方面)のほうに流れて行く。しかし本数は多いようだ。朝だからかもしれないが、およそ3〜5分に1本は発着している。この線 はかなりの通勤路線なのだろう。そして、人々の生活の中に解け込んでいる路線でもあるのだろう。そのあたりは日本の通勤路線と一緒で ある。しかし、車両も駅も日本とあまり変わらないのが逆に新鮮で、私はこの駅でしばらく写真を撮っていた。そして7:30にホテルに戻る まで、その雰囲気を存分に楽しんだ。

 ホテルへ戻ると、もう渥美は起きていた(当たり前だ)。先ほどの感動を伝えたいが、きっとわかってもらえてない のが悲しい…。まあそれはさておき、もうすぐ迎えも来るのでロビーに降りていった(私は既に準備をしておいた)。
 これから空港に向かうが、また1軒お店に寄らなければならない。これだからツアーは面倒臭い。だがそこは物産展で、キムチなどが 売っており、店員のしつこいほどの営業力に負け、いくつかキムチや韓国海苔などを購入していた。ホントに日本人は土産とかに弱い。 買い終わってバスに戻ってくると、もう他のグループの人たちは全員バスの中にいた。つまり、我々待ちだったということだ。いつの間に 韓国人に流されている自分がいたわけである。
広くて綺麗な仁川国際空港 帰りに乗った飛行機は
パーソナルモニター付き  さて、そのままバスは仁川空港へ。空港に着いたのは9:20くらい。まだまだ飛行機の時間にはたっぷりある。ここで渥美は、最後の バーガーキング!ということで、そのお店へ。またプルコギバーガーを注文して、最後の韓国の味に浸る。まあそれは置いといて、この 空港のすごい点といったら、何といっても免税店の充実だ。空港内に4店舗あるのだが、どこも品揃えが豊富。しかも安いときている。 タバコとか酒は迷わずここで買ったほうが良い。また、市内の免税店で売りきれていた商品も、ここならある可能性も捨てきれない。 店内はアメリカ$表示で書いてあって、例えばタバコが1カートン15$(約1600円)。日本の約半額だ。そんなわけでここで買い物を している日本人はすごく多い。空港の免税店なのに競争率が高い…という場合だってありえるのである。
 買い物もしてすごく満足し、飛行機に乗り込んだ。帰りはOZ104便で、機材はボーイング777。これは全シートにパーソナルテレビが 付いている比較的新しい機材で、渥美はそういった飛行機は初めてらしく(行きに乗ったのはボーイング747で、これには設定無し)、 えらく感動していた。
 成田に着いたのは13:40。ソウル発が11:30だったので、ほぼ2時間だ。むしろ、実質飛行時間は2時間を切っている。本当に韓国は近い 国なのだ。これなら気軽に行けてしまうのも事実で、もしかして思い立ったら行ってしまうかもしれない。もちろん私は電車に乗りにで あるが…。
 空港からは渥美の車で帰る。本当に車は楽で良い。そういえば渥美の車はCDが聴けるので、韓国で買ってきたCDを早速聴いてみることに した。すると…あの大学路でしょっちゅうかかっていた曲が1曲目に入っていたのだ。思わず我々は「ああっ!!」と叫んでしまった。いい お土産ができたものだ。SG Wanna Be というアーティストの曲らしいが(後に日本のカラオケにも入っていることが判明)、今でもこの キャッチーな曲を聴くたびに、ソウルの街並みを思い出すのである。


  今回のお勧めリンク先

 ●仁川国際空港… http://www.airport.or.kr/Jpn/home.jsp


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