2005年1月23日(1日目)
前回の台北から半年以上が過ぎた。また胃がんに効く?薬『片仔廣』を買いに、台湾は台北に行く時期がやって きたのだ。前回は母親と2人で行ってきたから、今回は1人で行くかと思ったが、色々友人に一緒に行かないかと打診してみたところ、 まず Dixie Pork メンバー小口一真氏、そしてこちらも同じ大学、同じサークルの友人、中村純一氏が名乗りを上げてきた。せっかく だから多いほうがいい…結局今回はこの3人で台北に行くことにしたのである。
当日、小口氏(以下一真)の車で空港に行くことにした我々は、まず一真が狭山の Dixie House から私の自宅で
ある成増まで、そして私を乗せ今度は赤羽へ。そこで中村氏(以下純ちゃん)を拾ったのがだいたい朝10:40。空港には12:25に集合と、
旅行会社のパンフレットに書いてあった。なんとか間に合いそうだ。
一真の車は軽自動車なのに、高速をドーっと飛ばし(車にはかなりの負担があったはずだ)、前回の成田の駐車場で気になっていた
ニコニコパーキングに車を停める。1日500円という、驚きの安さで有名な(実はもれなくもらえる野菜の方が有名だったりする)
パーキングだが、実際手続きをすると、“基本料金500円いただきます”の文字が…。うーん、これでは前とあまり変わらない。
…まあ細かい事は放っておいて、無事時間通り空港に着き、搭乗手続きをちゃっちゃと済ませた。それにしても皆んな荷物が少ない!
自分は薬を入れる用のカバンとして、スーツケース1つとリュック1つなのだが、純ちゃんはリュック1つのみ、一真にいたっては
小さなポーチ1つに、文庫版“ゴルゴ13”が6冊入っているビニール袋1つのみだ。要するに私以外は機内預かり荷物にする必要が
ないということだ。羨ましいというか、ずいぶん持ち物を削ったというか…。
予想以上に搭乗手続きはスムーズに進んだので、飛行機の乗る時間までが結構余ることになってしまった。するとすかさず「なんか
食おうぜ」という発言が…。さすが男3人の旅行だ。早速空港の食堂で食事…とはいかず、皆んなで生ビールを注文し「乾杯!」…何に
乾杯だかはわからないが、とりあえず一杯やったのであった。
さて、前回台北の空港に着いた時の印象に、色使いが派手なターミナルの内装というのがあったが、今回降りた
ターミナルはどうも様子が違う。なんか新しいのだ。それもそのはず、これは1月21日にリニューアルしたばかりのターミナルで、
チャイナエアラインが主に使用するというターミナルなのだ。だからまだ生活感みたいなものが感じられず、なんか洗練された感じ…と
いうわけなのである。せっかくだから皆んなには、台湾らしさのある空港を見せたかったが、これは仕方がない。とりあえず入国審査を
受け、現地旅行会社の人達が待ちうける場所へと向かった。
何とか旅行会社の人は見つけられたが、「もう1グループお客さんがいるので、ちょっと待ってて下さい」とのこと。私は前回行った
時のお金がまだ残っていたので、お茶を買いにいった。すると一真も「なんか俺にも買ってきて!」と。適当でいいよと言われたが、
ここは台湾、どんな飲み物があるかなんて知らないため、本当に適当に選ぶしかない。私は何となくコーラみたいな雰囲気を持っていた
『黒松沙士』と表記されていた缶ジュース?を買った(20元…約65円)。まず一真が飲む…瞬間的に「まずっ!!」。続いて純ちゃん
も飲むが「うわっ、何だこれ!?」。どうやら相当やばいようだ。私も少し飲んでみたが、甘いコーラに湿布の匂いを混ぜたような…
そんな味のする飲み物だ。黒松沙士というのは台湾のメーカー名らしいが、今回の旅でもよく見かけたから、きっと売れてはいるの
だろう。早速台湾の洗礼を受けた3人であった。
そんなこんなで待っているのだが、まだ他のグループの方が来ない。これがツアーの難点だ。全員が揃わないと出発できないのだ。
旅行会社の人に聞くと、どうやらもう1グループの方で、ロストバッケージ(預けた荷物が出てこない)にあってしまった人がいた
らしい。これは悲惨である。ロストバッケージは航空会社や空港職員の責任なので、探しても出てこなかった場合、それなりの弁償が
あるだろうが、とりあえずあったとしても、今日中に荷物が届くのは難しいだろう。結局そのグループ(知り合いの家族連れ2組という
感じだった)は荷物が1人分無いまま市内に向かう事になってしまっていたのだが、その人達の胸中は穏やかではなく、それは我々3人に
も伝わってきた。そのグループには10歳ぐらいであろう子供もいたのだが、ちょっとはしゃいで走りまわっただけでその親にきつく
叱られてたし…。そんな中、もう18:30を回ってしまった頃、バスは市内に向け空港を後にした。
辺りはすっかり暗くなっている。途中微妙な渋滞もあったりしたが、4車線、5車線の高速道路なので、日本ほど
混むことはない。40分ほどで市内に到着。まず先ほどのグループ一行さんを降ろし、我々はホテルが違うので、バス内は旅行会社の人と
うちらの3人だけになり、我々の泊まるホテル、六福飯店(レオフーホテル)へと向かった。バスの中で、旅行会社の人が「ご飯はどこで
食べるか決めてますか?」という。私は、前にも行った鼎泰豊にぜひ連れてってあげたかったため、そこに行く事を告げると、その人は
自分の名刺を取り出し、「これをお店の人に見せれば優先的に中に入れてくれますよ」と名刺を私にくれたのである。えっ!?と思った
が、確かに鼎泰豊は人気のお店でいつも混んでいる。この人がお店とどういう関係にあるのかは知らないが、とりあえずもらっといて損は
無さそうなので、ありがたく頂戴しといた。「他にも何か困った事があったら気軽に電話して下さい」…そこにはもちろん携帯の電話番号
も書いてあったが、このような優しさ?も台湾人の特徴なのだろうか。
無事ホテルに着いた。もう19:30になろうとしている。鼎泰豊の営業は20:30までらしいので、すぐさまタクシーでお店へと向かった。
台湾のタクシーは、前にも書いたが初乗りは70元(約230円)。3人で乗ったらさらにお得な値段である。しかも泊まった六福飯店は
地下鉄(MRT)の駅からは少し離れた場所に位置するため、なおさらタクシーが便利だ。さすがタクシー、よくわからない小道も通った
りしたが、5分ほどで鼎泰豊に到着することができた。
相変わらず鼎泰豊は順番待ちの番号が表示されている。いつものように“正”の字で食べたいメニューを書き、そして先ほどの名刺を
見せると…「どうぞ!」。驚いた、本当に優先的に店に入れてくれたのである。一体あの旅行会社の人は何者なんだ!…まあ良いとして、
ここでも我々はビールを注文(もちろん台湾ビールだ)、今日はビール三昧である。
しかし忘れてはいけないのがやっぱり小籠包で、ホントにここのは美味しい。たぶんシンガポールで食べた時より美味しい(当たり前
かもしれないが)。また空心菜などの野菜も美味である。これとビールとが相俟って、またまたいい気分になってしまった。他の2人も
満足してもらえたみたいだ。聞けば、この旅行では多少太ってもやむを得ないぐらいの気合で来てるそうだ。これはまだまだ食べれる
という暗示であろうか。今後が楽しみだ。
とてもお腹いっぱいになった我々は、これも前回に行った、中正紀念堂に行くことにした。ここから歩いて行けない
距離ではなく、腹ごしらえに丁度良い。しかも、もう辺りは暗くなっているから中正紀念堂はライトアップされているはずなのだ。今回も
行ってみたいと思ったのはそこにある。
途中靴屋や洋服屋など、何となく面白そうな店に立ち寄りながらも、30分しないうちに中正紀念堂に到着。今回は裏手の方から回って
来たため、建物の陣容が最初はわかりにくかったが、正面に来てみるとやはり立派だ。しかも確かにライトアップされていて綺麗である。
デートコースにでもなっているのだろうか…若者のカップルも多いように感じた。また、党の入口にある扉は夜は閉まっているらしく、
中を見学することはできなかった。
次にブラブラしたのは台北駅周辺。とはいっても目立った観光はせず、CD屋に立ち寄って外人のアーティスト名が漢字にされてて
笑ってたり(例えばプリンスは、“王子”と表記される。そのまんま!また、ジャズで有名なウィントン・マルサリスは“温頓馬沙利斯”
と書く…これはいわゆる当て字)、ちょっと普通の喫茶店(日本のドトールみたいな)に行ってみたくなり、実際飲み物を注文して店内で
召し上がってみたり…。しかし喫茶店に入って気付いた事なのだが、台湾人はなんとなく、日本人から見て幼い顔をしていると思う。その
大きな理由は化粧だ。台湾人の女性は、高校、大学生ぐらいでは化粧をほとんどしない、もしくはしても薄い。なぜなら化粧品は高い
らしいので。20代後半になって、やっと金銭的にも余裕が出てくるため、口紅を買い始める…ぐらいの勢いらしい。また、台湾人の女性
は肌が白いのを好む。台湾は、日本からのファッションにはすぐ敏感に反応するが、ガングロだけは流行らなかった…。まあそういう感じ
なので、台湾で高校、大学生といっても、中学生ぐらいにしか見えないのだ。しかし、台湾ではタバコは18歳からOKとされている。
だから喫茶店に行くと、見た目が中学生なやつらが堂々とタバコを吸ってる(吸いながら学校の勉強などをしている)ように映るのだ。
それがとても不思議というか、文化の違いなんだなあ…と思わず感心してしまった。
今度は士林へと向かうことにする。士林は台北で最大の夜市があるところで、もうすぐ夜11時という時間だが、
夜が遅ければ遅いほど人が賑やかになるという屋台の集まり場所なので、今から行っても全然問題ない。台北の駅からMRTで12分程、
劍潭(ジエンタン)駅が士林観光夜市の最寄駅だ。
確かに賑やかな場面がそこにはあった。今は駐車場の建物で仮営業しているという屋台街だが、夜市特有の雑多で混沌とした雰囲気は
健在である。私は屋台というと、いわゆる小吃とか鉄板焼きや、よくわからない飲み物やデザートとかが売っているイメージだったの
だが、ステーキとか、または小物雑貨から衣料品なども売っていたのは驚いた。日本の祭りの時のような雰囲気に近い感じもあった。
また、臭豆腐というのを御存知だろうか。豆が腐ると書いて「とうふ」なのに、さらに“臭”という文字がついているこの食べ物、字に
偽りなし、かなり強烈な匂いがする。瓜を腐らせた物と混ぜ合わせているらしいが、一真はこれの匂いを嗅いだだけで、半日は調子が
悪かった…勇気のある方は是非試していただきたい。匂いの段階も一応あるらしいので…。
さて、そこから北に少し歩くと、先ほどよりさらに活気のある場所へとやってきた。ここが士林夜市の中心らしいが、この人の数は
なんなんだ?時計はそろそろ午前零時を回ろうとしているが、まだまだこれから騒ぐぞといった感じだ。あまり広くない道に、ところ
狭しと品物を並べ、店を展開している。それは食べ物だけではなく、衣料品はもちろん、金魚すくい、ペット、駄菓子屋…等など。私の
記憶によると、日本では子供の頃「夜遅くご飯を食べちゃいけません」など言われたものだが、ここはどうだろう。こんな時間でも幼児が
お母さんに抱かれながら、焼き鳥をつっついてたりする。こここそ日本の常識が通用しない場所だ。
ふと辺りにどよめきが…。すると突然、道に出していた品物を皆一斉にたたみ始めたではないか。そして道の両側に並んでいる店の奥に
引っ込み出す…。あまりにもテキパキやるので私は一瞬何が何だかわからなくなったが、次の瞬間「ゴチッ!」私は何かに頭をぶつけ
られた。どうやら店に片付け途中の洋服かけの端に当たったらしい。しかし店の人は気にもとめない様子。一体何なんだ!と思ってた
ところ、ふと遠くに警察が…。なるほど、きっとこうやって売るのは違法となっているのだろう。どうりで皆躍起になって片付けていた
わけだ。そしてちょっと緊張が張り詰めた中、警察がいなくなると、またぱっぱと品物を出し始める。台湾人の商売心を強く感じた現場
であった。
いろんな店を回ってきたが、ゲームコーナーみたいな場所があった。とは言っても、日本のようなゲームセンターという感じの場所では
なく、祭りの縁日っぽい感じの場所のようだ。その一角を見てみると、麻雀牌でビンゴゲームのようなものをしている人達がいた。好奇心
旺盛な一真は、「やってみたくね?」といい、早速やり始める。特にルールなども知らずに…。どうやら一回(一勝負?)20元らしい。
一真は隣の人のやっているのを見様見真似で、牌を動かしていく。まず裏返しになった36個の雀牌から15個選び、それを縦横6列
ずつ36種類の牌の絵柄の入った紙に、順番に表にして見合った場所に置いていく。そして縦横斜め、6個繋がれば“勝ち”だ。何となく
簡単そうだが、これがなかなか難しい。一真の隣に座っていた人が、親切にもたどたどしい日本語でアドバイスをしてくれている。また、
白、発、中の3つが揃うと、6列揃わなくても、もう1回無条件でゲームができるらしい。なんか面白いルールだ。一真は何回も挑戦し、
最後の方は地元の人かと思うほどスピーディーな手つきになっていたが、結局揃わず、純ちゃんも挑戦してみたがやっぱり揃わず、麻雀
経験がない私も挑戦してみた。…すると、揃ってしまったのである!景品が、日本のくじ引き屋みたいな感じで棚に並べてあり、何が
当たるのかと期待してたら、何のことはない…もう一回ゲームができるだけだった。どうやら連続で2回以上揃えなくてはならない
ようだ。これはもうプロ?(実際、ずーっとこれをやってた人が隣の隣に座っていた)無理だと判断した我々は、そそくさとその場所を
後にした。
2005年1月24日(2日目)
前日遅くまで行動してたせいか、今朝ホテルを出たのは11時頃と遅めだった。今日のメインは、なんか忘れられて
そうだが『薬を買いに行くこと』である。場所は前回台北に来た時に覚えている。早速タクシーで西門町へと向かった。
西門町は台北の若者が集う場所だ。そんなエリアの端っこに薬屋は存在するのだが(前回泊まった麒麟飯店も近い)、いざ歩いて
行くと、昔と変わらない出で立ちでそれはあった。あの時はそんなに気にしなかったが、店には『協気薬舗』と書いてあり、創業100年
にもなる老舗みたいなことも記されてあった。
店に入る。片仔廣のことを聞くと、奥から見覚えのある箱を取り出してきた。正にこれだ。しかし値段を尋ねると「800元」という。
前買ったときは確か一粒700元だった。あのときは台湾人の洪さんがいたからその値段だったのか、それとも私が日本人だから値段を
ふっかけられてるのか…よくわからないため、私はとりあえず2箱(1箱10粒入り)買い、16000元(約5万円!)を支払った。
そしたら店の人がこんなことを言ってきた。箱ごと空港に持っていくと、荷物検査で引っかかるから、ここで箱から出し、粒だけ袋に
入れて持ち帰って下さい…と。こんなことは前回言われなかったが、これはどういうことなのだろう。確かに輸出輸入は禁止されている
薬だが、箱で引っかかるのだろうか。疑問を持たずにいられなかったが、一応言う通りにし、私は店を後にした。
さて、気を取り直して今度は『台北101大楼』に向かった。これは現在世界一高いビル、台北国際金融ビルの通称
であるが、101階建て、高さ508メートルと、世界一に相応しい数字を持っている。実は、今回行ってみたかった場所ナンバー1が
これだ。最寄駅はMRT板南線の市政府駅であるが、この周辺は先ほど行った西門町や、我々の泊まっていた場所とは大きく街の雰囲気が
異なっていた。いわゆる“中華街”のような街並みではなく、高層ビルが建ち並び、超近代都市の様相を呈してきている。まだまだ空き地
も目立つのが、これからの発展を期待させてくれる…そんな場所だ。
駅から少し歩くと、さすがにそのビルはもう目に飛び込んできた。前回は台北駅の辺りから見たので「まあ確かに高い感じがする…」
ぐらいだったが、今回はもっと近い。「確かに高い!」とはっきり言い切れる。この分なら建物はすぐ近くにあるなと思いきや、目に
入ってから15分くらい歩かないと、建物の下には行けない。つまりそれだけ大きく見えるのである。建物の真下まで行くと、さらに
高い感じをうける。建物の先端を見ようと上を見上げてみたりするのだが、首を相当曲げないと、その先端は見ることができない。ずっと
見てると首が痛くなる。本当に高いビルだ。
中はすごい洗練されている感じで、ブランドショップやレストラン、スーパーマーケットなどが何店舗も連ねている。例えばグッチ
なども入っていて、一真はここで財布を買っていた。大きく出たものだ。そして展望台へのエレベーターだが、これは5階にあるという。
ここのエレベーターは、高さ89階の展望台まで39秒(分速最大1010メートル)で到達してしまうという、これまた世界最速の
エレベーターなのである。そして実際5階までやってくると…「月曜定休」…。なんと…休みである。これはうかつだった。まさか展望台
に休みの日があるとは…。そして詳しくみてみると、ここの展望台がオープンしたのは1月19日のことだそうで、まだできてから間も
ない。そして3月まではお試し期間的な感じにしてあるらしく、営業時間も短めらしい。そしてとりあえず毎週月曜日は定休日とさせて
もらっているそうだ。3月からは晴れて毎日営業、時間も朝から夜までオーケーになるらしいが…何か釈然としない。でも諦めるしかない
…今度こそ、今度こそという気持ちで我々は地下にある食堂で昼食をとった。地下はフードコートにもなっているのだ。
次はタクシーで故宮博物館へと向かう。ここは言わずと知れた、台湾のメイン観光のうちの1つで、世界4大博物館
のうちの1つでもある、大変貴重な博物館なのである。中国歴代皇帝が収蔵したコレクションをもとに、約62万点もの収蔵品、そのうち
常設展示は約6000点なので、何ヶ月か毎にその内容は入れ替わる。つまり、収蔵品の全てを見るにはかなりの年月を要するということ
だが、とにかく膨大な品数を誇り、まさに世界4大博物館に相応しいといえる。
タクシーで故宮博物館の入り口に着くと、早速宮殿風の建物が目に入る。これが博物館の本館らしい。結構立派な建物である。しかし、
現在は大規模な改修中ということで、その建物には正面からは入れなかった。このことは事前に知っていたので、ある程度の予測はできて
いたのだが、どうも今回はこんなタイミングが多い。展示場も別に設けられてあって、初めて来た私には、故宮博物館に行ってきたぜ!
と声を大にして言えるかどうか、疑問もあったのだが、恐らくコンパクトにまとめられてあって、初心者には見やすい内容だったのでは
ないかと思う。
展示物は、国民党が運んできた財宝がほとんどで、確かに品質が高いように感じられる。本家故宮は北京にあって、建物自体は立派
だが品質では見劣りするらしい。しかし青銅器や焼き物は納得できるが、ヒスイで造られた白菜や豚バラ肉は一体何なのだろう。緑から
白へと微妙に変化させるヒスイを利用して、清代の職人は一株の「白菜」を彫った…という。それが展示されているわけで、確かに本物
そっくりで「よく造ったな」とは思うが、…だから何なのだ…。恐らくこういうものを当時の皇帝に持っていっては喜ばれたのだろう。
しかしこんな技術があるのなら、別の方向に使えば良かったのにと私は思ってしまう。「文化」とは無駄な部分に生まれるものものだ…
というから、中国はすごく文化水準が高かったに違いない。しかし…どうもここで納得してはいけない感じがする…。と、まあこのように
考えさせられてしまうのが、故宮博物館の魅力なのかもしれないが。
さて、展示場は現在2つにわかれていて、もちろんこれらは同じチケットで入れる。我々ももう1つの展示場に入ろうとしたが、一真が
ここで一言「俺チケット途中で捨てちゃったよ」…しょうがない…私は一真を残し、純ちゃんと2人でその建物を見学した。
こちらに展示してあったのは、皇帝の印章や玉器、本院所蔵の挿絵や書法の発展…等など。工事中で一部しか見学できないとはいえ、
もうかなりの展示物を見た気がした。やはり中国史に詳しくないと、その貴重さというのは少々伝わってこないかもしれない。最後の方は
なんとなく足早だったし…。
それでも何とか全てを見終わり、建物の入口に戻ってみると、一真が見慣れないおっさんと喋っている。話しを聞くと、どうやたこの人
中国茶を売ってる会社の社長さん!で、店に来てくれればホテルまで送ってくれると言っているのだ。…怪しい。海外で聞く怪しい話しの
基本中の基本のパターンである。ガイドブックにもこんなシチュエーションはよく載っている。しかし、一真がノリノリなのである。
う〜ん…。もう全てを一真に託し、我々は送ってもらうことにしてしまった。
その人の名前は呉(ウー)さん(本当は茣のくさかんむりを抜いた字)といい、“台北市内はどこでも無料サービス 専用車でお迎えに上がります”と日本語で書かれた名刺も戴いた。というか、この人日本語ばりばりOKの人である。顧客に日本人でも 多いのだろうか。車に案内されて驚いた。ベンツなのである。どうやら社長というのは本当なのかもしれない。車を発車させて、色々 話しをさせてもらったが、台湾のお国事情やらお茶の事情まで、なかなか他では聞けない話しで、ちょっと良かったかもしれなかった。 10分程で呉さんの会社に到着した。いわゆる中国茶屋さんで、呉さんの娘が中国茶の正しい飲み方を日本語で丁寧に説明してくれた。 中国茶といっても様々で、阿里山高山茶、凍頂烏龍茶、東方美人茶、鉄観音茶…など、多くて書ききれない。やはりついついお茶を買って しまった。恐らくこれが目的だろうとは思ったが、中国茶は予想以上に美味しく、確かに他の人に飲んでもらいたい味でもあった。一真 に至っては茶器まで買わされそうになっていたが、なんとか堪えてホテルへ送ってもらった。「また台湾に来た際には寄ってください。 日本からでも電話していただければ発送しますよ」と呉さん。悪い人ではなさそうだ。一真は自分の名前も紙に書いて渡していた。お互い 気に入った、という感じで良いのかな?とにかくいい経験だったように思う。
とりあえずホテルに戻ってきたが、これからどうしようか。話し合った結果、「買い物」と「食事」に落ち着いた。
特に食事は北京ダックが食いたいと一真がずっと言っていたため(店も指定)、それに合わせて買い物エリアを選ぶことに…。結局行った
のは前回も行ったお馴染みのDFSギャラリアだったのだが、なんだかんだで何も買わず。よく考えたら先ほどお茶をたくさん買った
ばかりだった。どうりで買い物意欲がわかないかと思った。
さて、一真お待ちかねの北京ダックの店は、MRT中山駅近くの天廚菜館(ティエンチュウツァイグァン)という北京料理のお店。
なかなか広々とした店内で、活気が感じられる。お目当ての北京ダックの前に、台湾ビールで乾杯。今回はビールを結構飲んだ気がする。
つまみも色々頼んだが、頼んだのはだいたい一真だ。というか料理の選択が“一真プロデュース”的な感じ(後先考えず、とにかく頼む)
になっている。これでは北京ダックが来る前にお腹いっぱいになってしまう。
本命の北京ダックは、まず鶏丸ごとを見せてから、バラになってテーブルへ運んでくれる。飴色の皮の色が、とても食欲をそそられる。
だいたい1羽で4人分ぐらいらしく、これで750元。日本で食べるより全然お得だ。これでかなり満腹感はあったが、一真はさらに注文
をし始めた。一体どのような思考回路になっているのであろうか。すると、頼んでないはずのスープが我々のテーブルの上に置かれた。
一同?だったが、よくみると鶏肉の切れ端がスープの中に入っている。そう、これも北京ダックのメニューの内容の1つなのである。この
スープの器もまた大きくて、「これは食べきれない」と3人同時に確信したに違いない。ついでに杏仁豆腐のデザートも付いてきた。ある
意味、ビールと北京ダックだけ頼んでちょうど良かった…という感じだろうか。最後の方は3人とも口数が少なかった気がする。
お腹も精神的にも満腹状態で、まだ夜8時ぐらいだったが、とてもじゃないが動ける状態ではなくなってしまった。 確かにここまで猛ダッシュで台北を観光してきたと思う。考え直すと、よく見回れたなと思うぐらい、とにかく我々は行動した。そう 思うと、とたんに疲れがでてきた。一同「ホテルに帰ろう」という意見で、タクシーでホテルへ。元気があれば、一休みしてからまた街に 繰り出すかと思っていたのだが、どうやら体がそういう状態ではなかったらしく、3人ともそのままベットから出ることはなかった。 本当にお疲れ様でした。
2005年1月25日(3日目)
さあ、ついに帰国の日である。3日間であったが、充実した内容だったし、正直ここまで見回れるとは思って
なかった。普通、複数の人数で外国とかに行くと、トラブルが起きる場合が多いのだが、驚くほど順調だった気がする。というか、一真の
突拍子もない行動がかえって新鮮で、そして、どこかのほほんと落ち着いている純ちゃんのバランスが良かったのではないかと思う。
きっとまたこの3人で海外に行くことがあるだろうな…そんな予感さえさせてくれた今回の旅は、…面白かった。この一言に尽きる。
もともと薬を買いに行く事がメインだったのだが、ついでに薬を買いに行った…みたいにさえ思ってしまう。
そんなことを思いながら、空港に向かうバスに乗った。途中、違うホテルで他のツアー客の人も乗ってきた。その時「あっ!」なんと
行きにロストバッケージにあったグループの人達ではないか。あの時の表情は、とてもじゃないが台湾を楽しんでる表情ではなかった
ような気がしたが…。今は…終始笑っておられる…。皆笑顔で、それぞれの台湾体験談を話し合っている御様子だ。ああ、台湾はここまで
人を幸せにさせるのか…。この時の笑顔(特に、行きの時に子供に怒っていたお母さん)が私は忘れられない。台湾の持っている魅力の
底力を改めて再認識した出来事であった。
さて、空港には12:00過ぎには到着。飛行機の出発時刻は14:20。まだまだ時間がある。じゃあもう一回ビールでも 飲んでいこうか?帰りまで楽しむのが、一真、純ちゃん“流”である。
今回のお勧めリンク先
●鼎泰豊…http://www.dintaifung.com.tw/jp/
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