中正紀念堂の前方両脇に建っている建物
実はコンサートホールだったりする


 2004,6,30〜7,2…台北(中華民国)



  2004年6月(プロローグ)

 私の祖父が入院した。まあもう76歳になろうとしているから、これといって入院する事に私は驚かなかった。 しかし、うちの祖父は昔から思い込みの激しい人で、胃潰瘍で入院したのだが、本人は胃ガン(…だいぶ違う)だと思っているらしい。 今回の入院も大して重いものではなかったので、退院するのも時間も問題だった。そんな時、祖父、祖母は私にある頼みをしてきたのだ。 それは『ヘンシコウ』という薬を買ってきてほしい…というもの。漢字で書くと『片仔廣』だが、はっきりいって聞いた事が無い。 それもそのはず、日本には売ってないらしい。ではどこに売っているのか。中国か香港、そして台湾だという。
 実はうちの祖父は昔からこの薬を愛用していて、もう少しでそれが切らしてしまうという。今までどうやって入手してたかというと、 祖父の知り合いが出張で台湾によく行っていて、その都度買ってきていたのだそうな。そしてこれからもその薬はやはり必要らしく、 先の事も考えると若い者にやらせなければいけない…ということなのだろうか、私に白羽の矢が充てられたわけだ。実際その薬が祖父に どのような影響を与えているかはわからない。ただ、思い込みの激しい祖父は「病は気から」のタイプ。とにかく呑めば安心なのだ。 そして旅費も出してもらえる。これは行かない手はない。…というわけで、私は台湾は台北に行くことになったのである。

  2004年6月30日(1日目)

 今回は母親同伴で行く。母親と海外に行くのは実に15年ぶりだ。まあ母親から見れば私の祖父は実の父親になる ので、同行は当たり前かもしれない。だが今回だけにもなりそうでもある。これからは私1人で買いに行くことになるのかもしれない。 そして、そのことに私はまったく苦を感じない。むしろ「おいしい」と思ってしまう。祖父には悪いのかもしれないが…。
 さて、成田空港までは車で向かった。これも親同伴だからできることだ。成田空港の駐車場というのは数多く存在するが、今回はUSA パーキングという所に駐車することにした。通の人なら、ニコニコパーキングが一番安いよ(1日500円!)と言うのかもしれないが、 そこのホームページのサイトというのは無く(本当はあるのかも…誰か知っていたら教えて下さい)、情報も不確かなところがあった為、 サイトのあるUSAパーキングにした。インターネットで予約すれば3日間で約2100円だ。だが、いざ成田空港の駐車場エリアである ところ(ちょうど高速道路から降りた所だろうか)に着いてみると、目の前に「ニコニコパーキング、1日500円」の看板が…。 きっとこれからはニコニコパーキングに駐車する事になりそうだ(だが、少々空港まで遠いのが難点か?)。
 飛行機が出発の3時間前には空港に着いてしまった。通常は2時間前に着くのが良いとされている。車で行くのもなかなか良いでは ないか。飛行機に乗るまで、ずいぶんゆっくりとすることができた。

 出発は16:15…予定通りに離陸した。今回我々が乗ったのはキャセイパシフィック航空という、香港の航空会社だ。 香港の航空会社なのに台湾に行けるのか、と思わないでほしい。そんな便は世の中にはいっぱい存在する。ついでにこの便は、台北経由の 香港行きという便だった。機内食にも結構満足。私はポークと野菜炒めのライスをチョイスしたが、母親はウナギご飯を頼んでいた。 せっかく外資系の航空会社なのに何故ウナギ?確かに悪い味ではなかったが、私のポークの味付けは実に中国的な感じがして、台北到着前 からワクワクさせるに十分な役割を果たしてくれた。母親も、そっちにすれば良かったかしらねぇ、と呟いていた…。
空港で税関を抜けると、人でごった返していた
中正空港にて  台北は中正空港に到着したのは現地時間の18:30。台湾と日本では1時間の時差がある(台湾の方が遅い)ため、成田を出発してから 3時間ちょっとしか経っていない。台湾も日本に近いのだ(これ海外日記で毎回言ってますね)。確かに、沖縄県の石垣島から見ると、 石垣島から那覇市の距離と、石垣島から台北市の距離は同じくらいである。だが日本とまったく違う文化がそこにはある。ここが海外の 面白いところだ。それは空港に降り立った瞬間から感じられる。どことなく漂ってくるお香の香り。色使いが派手な(紫とか黄色とかを よく使っているように感じた)ターミナルの内装。そして見渡す限り漢字の渦…。やはり海外は楽しい。
 そして送迎バスに乗って、台北市内へと向かう。ここ中正空港からは約50分の道のりである。海外の空港としては、市内からは遠い 部類に入るが、日本よりはまだマシである。ところで、台湾で使われている貨幣はNT$(ニュータイワンドル)というもの。単位は元。 日本で両替するのは難しいため、バスの中でツアーコンダクターの人に頼んで5万円ほど両替してもらう。、今回買いにきた薬は結構 値段が高いらしく、本当はもっと両替したかったのだが、レートもよくわからないため以上の金額にしておいた。
 ここで台湾という国を簡単に説明しておこう。正式名称は中華民国(台湾)。Republic of China(R.O.C)そして Taiwan と呼ばれる。 国土の面積は日本の九州ぐらいの大きさ。首都はこれから行く台北。ついでに、台湾という特殊な事情がある国はどのようにして成り 立ったのか、それは今から100年ぐらい前に遡る必要がある。
 そのころの中国は「清」(シン)という国で、日本と戦争をしていた。いわゆる「日清戦争」である。この戦争で日本は清に勝ち、台湾島 は日本のものになり、それからの50年の間、日本は台湾を支配ていた。このため日本統治時代、日本語で教育を受けたお年寄りは今も 普通に日本語を話せるという。一方、中国大陸では、「清」の後は国民党という政治のグループが支配する「中華民国」という国になって いた。太平洋戦争の前から日本は、この国と戦争をしていたのだが。太平洋戦争で日本が負けると、日本は台湾を「中華民国」に返上 する。そして、台湾から日本軍が引き揚げるのと入れ替えに、中国大陸から国民党の軍隊が台湾にやってくるようになる。また、中国大陸 からも日本軍が引き揚げると、中国大陸では、国民党と共産党という2つのグループが、国の中で戦争を始めてしまう。この戦争は共産党 が勝って、負けた国民党は台湾に逃げ込むのである。1949年、国民党を大陸から追い出した中国共産党は、「中華人民共和国」という国を 作ったが、それ以来、中国と台湾は仲が悪いままになっている。中国は、「台湾は中国の一部だ」と言っていて、「台湾が中国から独立 しようとしたら許さない。軍隊の力を使ってでもやめさせる」と言い続けているのである。その台湾では、国民党が政治をしていて、 国民党に反対するグループは認められていなかったこともあるのだが、国民党以外の政治のグループも認められるようになり、最近だが 総統を住民が直接選挙をして選ぶ仕組みになったのだ。
屋台では数多くの食材が並ぶ
おかず1種類につき10元?  こういう背景のため、中国の人が台湾に行くのは現在も難しい。もちろん、お互いの都市をダイレクトで結ぶ飛行機など無い。しかも 台湾側は中国と自国との間を、「国と国との付き合い」…つまり、中国とは異なる一つの国、というのを強調していているから、一向に 折り合いがつかないでいる。1972年に日本と中華人民共和国は国交を結んだのだが、このため中華民国(台湾)は日本と国交を断絶した。 民間レベルの交流は盛んだが、現在の日本政府は中華民国(台湾)を国家とは認めていなく、お互いの大使館というのも存在しない。 話しが難しくなってきてしまったが、とにかく日本は中国とも台湾とも深く関わっているだけに、知っておきたい事実ではある。

 そんなこんなで、バスは淡水河という川を渡って台北市に入る。しかしこの川はめちゃめちゃ東京の隅田川(特に 下町付近の)に似ている。ガイドもそのように説明していたが、これは実際見ていただきたいものだ。確かにこの辺りは街も下町っぽい 雰囲気があるので、そのせいかもしれない。この付近に、我々の宿泊する麒麟大飯店(ホテルの意味)はあった。
 もう夜九時近いが、せめて夜ご飯を食べたい。ホテルのフロントの人に、どこかいい食事どころはないかと聞くと、屋台はどうですか、 と言われる。なるほど、せっかく台湾に来たのだから屋台経験というのは良いかもしれない。今まで私は香港、タイ、上海と旅行して きたが、お腹を壊すんじゃないかという心配から、屋台は避けてきていた。では挑戦してみようじゃないか。
 ホテルから歩いて10分ほど、華西街というところに夜市がやっていて、その中に屋台もあった。色々見て回って、だいたいの目星を 付け、いざ注文!…だがここで選んだのはバイキング形式(たぶん)なところ。言葉がよくわからないから、この選択は正しかったんじゃ ないだろうか。さて、その食材が何なのか、値段はいくらするのか等はとにかく二の次。3,4種類ほどの食材を適当に選び、自分で皿に 盛る。お粥があるのも発見したので、それも別の器に注いでもらう。味は…美味しい!…いかにもアジアの、中国文化の料理という感じ。 この、お世辞にも綺麗とはいえない、道の脇で食べているという風情もまた良いのかもしれない。気になる値段は2人でなんと90元 (約300円)だった。これは安い。どういう料金設定か知らないが、初屋台、満足である。
 このあとミネラルウォーターやお菓子を買いにセブンイレブンへ。しかしセブンイレブンは世界のどこでも見かける…。案の定、水も お菓子も安かった。ポテトチップスに至っては1つ20元(約65円)。高いのはアジアでは日本だけではないだろうか。
 ホテルに戻り、テレビのチャンネルを色々回してみる。言葉はわからなくても、海外のテレビ番組を見るということで、それなりに国の 文化が垣間見られて面白い。そしたら、なんと全英テニス、ウィンブルドンがやっているではないか。実は、母親は大のテニス好きで、 見るのもやるのも好きである。そしてウィンブルドンに至っては、世界4大大会のうちの一つだから、もちろん家では欠かさず見ている。 この日で準決勝ぐらいのスケジュールになっていて、まさか台湾で見られるとは思ってもいなかったことだろう。おかげで、この旅行で 台湾独自の番組を見ることはなかった。だが、解説は中国語なので、少しは中国文化に触れられたと思ったほうが良いのかもしれない。 ウィンブルドンは日本では夜中にかけて放送しているため、母親はいつも寝たり起きたりの繰り返しで、睡眠をさまよいながらテレビを 見ているのだが、その姿がここ台北でも見れるとは…。まあ微笑ましい光景ではあるが、とにかく私もウィンブルドンを見ながら結局 寝てしまった。

  2004年7月1日(2日目)

 さあ2日目。今日は薬を買いに行くという重要なイベントが待っている。実は、以前出張で来ていた祖父の知り合い の方の、仕事仲間の人が台北にいて、その人に薬屋に案内してもらえる事になっている。そして、その人との待ち合わせる時間は午後 3時だ。つまり、それまでは自由時間ということで、母親と台北の街を観光することにした。
台湾のタクシーは黄色に統一されている 夜の西門町。台北の原宿?  1時間ほど、ホテルから最寄の駅まで、ゆっくりとぶらつく。空は晴れているが、たまに小雨がぱらつくという変な天気だ。アジア 特有の天気とでも言おうか…とにかく天候が変わりやすい。この辺りは西門町と呼ばれているエリアで、台湾の若者たち、特に中高生 などの憧れの場らしい。日本で言えば原宿、渋谷近辺な感じだろうか。カジュアルな衣服や雑貨の店、映画館、ゲームセンター、CD ショップなどが密集している。しかし今はまだ朝の10時ごろなので、店もそんなに開いておらず、人もまばらだ。しかし、とある場所に 人の列ができている。映画館だ。なんとスパイダーマン2が公開されているではないか…。日本での公開は7月10日なのに、ここ台北 では今日の1日前の6月30日から公開されているという。日本より早く公開されているとは…ちょっとショックな出来事であった。
 駅に着いたら、今度はDFSギャラリアに向かうことにした。海外日記グアム編でも紹介しているのでここでは触れないが、とりあえず ここ台北市にもあるというわけだ。まあ、買い物に行こうという魂胆である。足に使ったのはタクシー。台北のタクシーは初乗りが 70元(約220円)と安い。電車で3駅分ぐらいの距離だが、グアムと同じく、ここもタクシーで来たお客さんにはサービスをして いる。グアムではDFSがタクシー代を負担してくれたが、ここ台北では100元相当の商品券をくれるというもの。グアムより少し サービス度は下がっているが、台北市は広いので致し方ないと言えるだろう。ちなみに、中国語では「DFS多禮企業」と書く(しめす へんは“示”ではなく“ネ”ですが…)。ここでは台湾名物『カラスミ』を買った。日本で買うと5000円ぐらいする(母親曰く) のが、こちらでは2000円ぐらいで買えたのは良かったのかもしれない。
 次にMRTに乗って台北駅に向かう。MRTというのは台北市を走る公営鉄道のことで、東京でいえば東京メトロみたいなものか。 市内中心部では地下を走り、郊外にいくと外を走っている。値段も安く(初乗り20元!日本円で65円)渋滞知らず、利用は簡単で しかも安全だ。このMRTと、台北駅には台鉄(台湾鉄路管理局…日本でいえばJRみたいなもの) 新光摩天展望台からTAIPEI101楼を望む
確かにあの高さは半端ではない… 新光摩天展望台から、これから向かう中正紀念堂を望む
真ん中の左端にある建物がそうである が通っている。というか、台北駅は日本の東京駅のような存在なので、台鉄はこの駅を拠点にしているといっていい。駅舎はとても 立派で、建物の中央の吹き抜け部分などが素晴らしい。なんだか旅情を感じさせてくれる駅でもある。あと何年か経ったら、台湾にも 新幹線ができるので、そのときはもちろんこの駅に乗り入れてくるのだろう。駅前は急ピッチで再開発が進んでいた。電車も見たかった のだが、全線地下駅なため、しかも切符を買わなければホームにも入れず、今回は断念。だが、今度来た時は乗ってやろうかと思う。

 台北駅のすぐ南に、新光三越台北駅前店が入っているビルがある。まぎれもなくあの三越であるが、このビルは 46階建てで(三越は地下2階から13階)、上が展望台になっている。初めて来た街は、上から眺めると街の様子がなんとなく理解 できるので、上がってみることにする。高さ244,15メートルで、台北では現在1位の高さのビルである。だがこの1位というのは 今年の秋まで。その頃には台北駅から東に5、6キロぐらい進んだところにある、TAIPEI101楼(ビル)というビルが完成する。 このビルは高さが508メートルと、台北市で1位になるどころか、世界一の高さのビルにもなってしまう。現在は途中階までの営業で、 秋頃に101階に展望台が開放されるのだとか。今度来た時に行ってみたい場所ナンバー1である。
 さて、こちらの三越が入っているほうは新光摩天展望台というのだが、なかなか良い眺めである。天気も今は晴れていて、遠くまで 見渡せて気持ち良い。東西南北と、大パノラマが広がっているが、台北市なら大体視界に入れる。夜になると、さらに綺麗なんだろうな とも思う。展望台の料金は150元(約500円)なり。
 もうお昼である。せっかく三越にいるので、いわゆるデパ地下(台湾では美食街と呼ばれる)で、ご飯を食べてみようと思う。ちょうど お昼時というのもあるのだろうが、向かったら地元の人で満杯だった。ほとんどの店がセルフサービスのスタイルをとっていて、各 カウンターで好きなメニューを選んで先払い。そして、できあがった料理をプレートに載せ、自分で適当な席に持っていくと。非常に 簡単だ。しかもここでは写真付きのメニューが店頭に並ぶ。さらに、店員も、「安いよ」とか「辛いよ、大丈夫?」とか「ありがとう」 などの日本語なら喋れるらしい。それにしても皆声がでかい。なんて言っているかはわからないのだが、台北の人々のパワーというものを 肌で感じられたような気がした。私が頼んだのは、火がつけられた鍋(合宿先ででるようなやつ、野菜肉炒めが温かいまま出てくる)に、 ご飯に漬物にスープ…で160元(約540円)だった。辛かったが、癖になる美味しさだったのを強く覚えている。

これがいわゆる中正紀念堂です…立派! 中正紀念堂?いや、これはMRTの駅です

 そろそろ午後1時を回るところで、見られるのはあと一箇所ぐらいになってしまった。ここで向かった先は、中正 紀念堂である。光復後の台湾を支配した、中国国民党政府の蒋介石総統を記念し、1980年に建てられたものである。台北駅からはMRTで 2駅。その名も中正紀念堂駅で降りた。これは…とにかく広い!の一言。中正公園内にそれは存在するのだが、高さ70メートルの青い 八角形瓦屋根の紀念堂は、公園の入り口からでは「あれ、こんなものかな」という建物にしか映らなかった。中正紀念堂は白亜の期台と、 中国風の建物からなり、党の内部には巨大な蒋介石の座像が置かれている。10:00〜17:00の間、1時間ごとに像前で衛兵の交代と、入退場 の儀礼が行われるらしい。
 この中正紀念堂の前方両脇に、中国古典風外観を持った建物があるのだが、実はこれ、国家音楽庁と国家戯劇院で、1987年に完成されて いる。要はコンサートホールということだ。もっと歴史的な建物だと思ったものだが、1階とかには本屋が入っていて、ちょっと びっくりした。今日は何かのセレモニーでもあるのだろうか。チアリーディングみたいな人達が、必至に?練習をしている姿が印象的 だった。ところで、これらがある中正公園では、夜間にはライトアップが施されるという。是非今度見てみたいものである。

 3時近くなったのでホテルに戻る。程なく部屋に電話がかかってきた。今回我々を案内してくれる洪(ホン)さん である。仕事の都合で4時過ぎになってしまうらしい…。ここでも中国時間なのだろうか。先月の上海を思い出す。
 とりあえず部屋でくつろぎ、4時になり再度洪さんから電話が。今度はもうホテルのロビーに来ているという。なかなか展開が早い。 運転士付きの自分の車へと案内され、早速薬屋へと向かった。またいつか薬を買いに来るときは、私1人かもしれない。だから薬屋までの 道のりは覚えなければならないわけで、結構大変だ。長い距離だったらどうしようかと不安がよぎる。が、車は我々を乗せて2分くらいで 薬屋へ着いてしまった。ホテルからでも余裕で歩ける距離だ。呆気にとられる我々をよそに、洪さんは薬屋の中へ案内してくれた。
 薬屋というより漢方薬屋さんなのだろうか。ここの主人は洪さんの知り合いらしく、ここは安心して買えるという。実は我々が買いに きた『片仔廣』は偽物が結構出回っているらしく、それがまた本物とよく似てて、見た目ではよくわからない。常に服用している人は 味で分かるらしいが、我々には分かるわけがない。この薬を作っている本社は、中国の福建省にあるらしいのだが、そのためか中国は特に 偽物が多いらしい。そして、香港もあまり信用できない(変に値段が安かったりする)らしいので、ここ台湾に来たわけであるが、 これらの話しを聞いて、とにかく本物を手に入れるのは大変だということがわかった。そして、とにかく洪さんを信じるしかない…とも 思った。1粒700元(約2400円)、1箱10粒入りなので、1箱2万4000円…。結構高いが、本物はこれくらいの値段だと いう。中国、香港では1粒500元くらいで売っているというが、そういうのは大体偽物だと…。…しかし、ここでは素直にうなずく事 ぐらいしかできない。我々は2箱買い、次の店に向かった。複数の店で買ったほうが、もし1つの店のが偽物だとしても安全だからだ。 なんだか我々より洪さんの方が、偽物かどうかを気にしているような感じがした。
日本でも有名らしい鼎泰豊  次に向かった店は…病院である!…なぜに病院。ここで薬が売っているのだろうか。どうやら、ここの医者の人がまた洪さんの知り合い らしく(洪さんすごいな…)、その人に話しをつけてあって(事前に知り合いづての人に薬をもらっておいて)、売ってもらうことに なっているらしい。さすがというか、我々の為にここまでしてくれて、本当に洪さんには感謝である。ここでも2箱買い、今回の買い物は 終了となった。ここはさすがに1人で来ても薬はもらえなさそうだが、洪さんは、今度台湾に来たらまた呼んでください…と、ありがたい 言葉をかけてくれた。何から何までお世話になってしまったが、本当に優しい人だった。

 洪さんとはホテルで別れたが、いいレストランを紹介してくれた。その名も『鼎泰豊』(ディンタイファン)という 上海料理のお店だ。上海料理の代表と言えば小籠包。このお店は台湾では結構話題になっていて、実はアメリカのニューヨークタイムズ 誌で、世界のレストラン、ベスト10に名を連ねた店でもあるらしい。お店の場所は、MRTでは行きにくい場所にあるため、タクシーで 向かった。タクシーの運転手に「ディンタイファン」と告げると、OK、OKみたいな表情。なるほど、台湾で話題になっているというの は間違いなさそうだ。店に着くと、既に何人かの人が列を作っていた。日本でも大阪に支店をオープンしたせいか、日本人も多い気が…。 …いや、圧倒的に日本人が多いのかも…。やはり日本人は話題性に弱い。「鼎泰豊ツアー」というのがあるのだろうか、団体さんも多く 来ていたが、ここではメニューが書いてある紙を渡され、それに頼みたい数字を書くだけ。日本語のメニューもあるので言葉の心配などは 不用である。列を作っているといっても、回転が結構早いため、10分も待てば順番が回ってくる。ツアーだと時間をいちいち気にしなく てはならないため、是非個人で来ていただきたい。味は確かにお墨付きである。お勧めはもちろん小籠包(10個入り、170元)。あと 鳥スープが美味しかった。

 時計はもう午後7時を回っていたが、私はもう少し台北を探索したいと思っていた。ここからは完全に自分の趣味 であるが、上海と同じく電車に乗りたいというものだ。これはさすがに母親に付き合わせるわけにはいかないため、母親は先にタクシーで ホテルまで戻ってもらった。つまり、完全単独行動をとるというものだが、これがまた実に楽しかった。バスにも乗ったし、MTRの路線 も終点まで行ってみたし…。実はこのような公共機関に乗ると、台北に暮らす人々の生活感が伝わってくるのが、何ともいえず面白い。 なるたけ私は現地の人の生活に解け込みたいと、いつも思っている。まあなかなかうまくいくわけではないが、これが私流の観光、という ことで…。結局ホテルに戻ったのは午後10時半頃。3時間強は街中をウロチョロしてたわけだが、少しは台北市のことが分かったような 気がした。親は相変わらずテニスのウィンブルドンを見ていた。

  2004年7月2日(3日目)

雲の上まで行けばこの通り
これぞ飛行機の醍醐味! 離陸前はどしゃ降りだったが…

 今日はもう帰るだけなので、とりたてて書くことはないのだが、どうも雲行きが怪しいらしい。実は台風7号が 台湾に上陸してて、台北市も暴風域に入っているような天気図を、今朝のニュースで見かけたのだ。だいたい常にウィンブルドンなんか 見てるから、今までの天気が分からなくなるのだ。飛行機というのは、雨は大した影響はないのだが、実は強風、特に離陸、着陸時の横風 にはめっぽう弱い。これで帰りの飛行機が飛ばなくなってしまっては困る…。朝空港まで送ってくれるガイドの人に聞くと、今のところ 飛ばないという情報は入ってきていないという。この「今のところ」というのが曲者だ。いつでもフライトがキャンセルになるという 可能性があるという事ではないか…。
 我々を乗せたバスが台北市を出た時には曇りだった天気も、空港に着く頃にはどしゃ降りになってしまっていた。しかも風も強くなって きている…。それでも搭乗手続きは通常通り行われていたため、まあ大丈夫なのかな…とも思っていたが、雨はますます強くなるばかり。 「欠航」の文字が頭をかすめる。税関を抜けて、待合室にいるときでも、飛ぶのかどうかは常に頭の中にあった。
 まあ結果飛行機は飛んだのだが、それでも一瞬小降りになった隙をみて離陸したという感じだった。我々の乗った飛行機が、部厚い雲を 突き抜けて離陸していく様は、なんとも頼もしく感じたものである。家に戻ると、次々に「台風は大丈夫だったの?」とか、「よく飛べた ねぇ」の声が…。どうやら台風7号は日本でも話題だったらしい。でも実際はそこまで影響は受けてないわけで、ちょっとラッキーな 台北旅行ではあった。


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